ホワイトムスクの午后

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カップ麺を食べ終えて、私は書斎に入り、上杉さんに渡す原稿の続きを書く。 上杉さんはキッチンでパンケーキを焼くと言い、食糧庫にあった小麦粉の袋を開けてクンクンと匂っていた。 小麦粉なんて男の一人暮らしで使う事も無い。 多分、上杉さんが買ってきたモノの筈なんだが…。 「先生は甘いのとしょっぱいのどっちが好きですか」 上杉さんは書斎を覗き込んで訊いた。 主語の無い質問だが、もちろんパンケーキの事だろう。 「その時の気分ですね…。少し前に流行ったホイップクリームがこれでもかって程乗ったパンケーキも好きですし、カリカリに焼いたベーコンと一緒に食べるのも好きですね」 上杉さんは、何度か頷き、ニコッと笑うとまたキッチンに戻って行った。
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