ホワイトムスクの午后

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上杉さんに渡す原稿のデータをUSBメモリーにコピーし、それを持ってダイニングへ行くと上杉さんのパンケーキもちょうど出来上がった様子だった。 「先生は鼻が利きますね」 上杉さんは笑いながらパンケーキの載った皿を私の前に置いた。 「メイプルシロップなんて洒落たモノは無さそうなので、この高級そうな蜂蜜使って良いですか」 何処から見付けて来たのか、確かに高級そうな蜂蜜の瓶を上杉さんは私に見せた。 私は無言で頷き、椅子に座った。 そして蜂蜜をすくう棒も何処からか見付けて来た様だった。 その棒を私が見ていると、 「これ、ハニーディッパーって言うんですよ。覚えて置いて下さいね」 上杉さんは私の向かいに座りながら言う。 ハニーディッパーって言うのか…。 「蜂蜜をすくう以外に使い道無いですからね」 そう言うと高級そうな蜂蜜の蓋を開け、ハニーディッパーを差し込んだ。
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