ふたり…

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「茉子!彼のマンションから出ないか?」 「…」 それは、茉子も考えていたことだ。 凌也と今すぐヨリを戻すとか、一緒に住むとかではなく、少しでもブレた気持ちがあるなら、智輝に失礼だと思うから、一緒に居るべきではないと… 自分がどうしたいのか?本当に智輝と結婚する気があるのか? それを確かめる為には、一度あのマンションから出た方が良いのでは?と思っていたのだ。 以前、住んでいたマンション。 1ヶ月前までに言わないと退去手続きが出来なかった。 だから、そのままになってしまっている。 どうせ1ヶ月分の家賃を取られるなら…とそのままに。 でも、そろそろ、1ヶ月。 残りの荷物を処分して、綺麗に掃除をしないと…と思っていた。もしかすると、いつでも戻れるように…どこかにそういう気持ちがあったから、家具や家電をそのままにしていたのかもしれない。 まだ、1ヶ月か… 色々有り過ぎたような気がする。 心機一転、新しいマンションに引っ越そうか…とも考えていた。 ーということは、智輝との結婚は、やはり茉子にはハードルが高かったのか… 誰かに縋りつきたかっただけなのか… とにかく、智輝と話さなきゃ、そう思っていたところだったのに、智輝の仕事が忙しくなった。 もともと忙しい人。 落ち着いたら…ゆっくり話す時間、取ってくれるかなぁ〜? そんなことを考えていた茉子に、凌也は… 「俺たち、やり直せないか?」 「そんなの無理だよ。皆んなに迷惑をかけてしまって…」 「今すぐは、無理だとしても、時間をかけて、迷惑をかけてしまった人たちには、誠心誠意、努めて…」 茉子は、自分が智輝を傷付ける。 ここまで、色々してもらって、命まで助けてもらったのに…裏切るようなことは出来ない。と思っている。 優しさに甘えていた。 きっと顔を見ると、あの優しさに又、甘えてしまう。 しかし、黙って出て行くようなことは、出来ない。 週末に、話そう。そう心に決めた。
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