裏切り?

2/4
前へ
/87ページ
次へ
早朝、タクシーで、以前のマンションに戻り、窓を全開にし、朝早いことから、掃除機はうるさくてかけられない。静かに隅から隅まで、拭き掃除をする。 どうせ、一睡も出来なかったから、良い運動になった。サッパリした。 『良かった、解約する前で…元に戻っただけだ』 でも、もうすぐ解約期限だ。新しいマンションを探さないと… とりあえず、シャワーを浴びて、出勤の時間。 いつもより、早めに出る。 そんな時に限って、電車で凌也に会う。 「おーおはよう!早いね。昨日は、どうも。」 「おはようございます。昨日は、ありがとうございました。ご馳走様でした。」 「いいえ。あれ?どうしてこの電車?」 そう、智輝のマンションとは逆からの乗車。 『鋭い!』 「…」 「何かあった?」 「…」 「何かある時は、そうして黙りこむ。」 わざと、黙り込んでいたわけではなく、話そうと思ったが、涙が溢れ落ちそうになったから、やめてしまったのだ。 凌也が顔を覗き込む。 「茉子?どした?」 ドアの方を向いて泣いた… 人目につかないよう、壁になり隠すように凌也は、立ってくれていた。 マスクのおかげで、さほど目立たなかったが、止め処なく溢れ落ちる涙は、マスクに吸い取られ、マスクを交換しないといけないぐらいだ。 最寄り駅でトイレに入り、マスクを交換する。 トイレの前では、凌也が待っていてくれた。 「急ぐから早く来たんじゃないんですか?」 「そんな顔してるのに、1人置いて行けるほど冷血ではない。」 ベンチに座るよう促される。 「話して!」
/87ページ

最初のコメントを投稿しよう!

506人が本棚に入れています
本棚に追加