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翌日、いつも通り出勤し、仕事を終える。
「じゃあ、行って来る。」
「うん、気をつけてね。」
「うん、ウチでご飯作って待っててね。」
「うん」
寂しそうに見送っているところを先輩に見られた。
「茉子!山上さんと付き合ってるの?」
「え?」
誰も居ないと思っていた給湯室に山口先輩が居たとは…
「今のは、どう見てもカップルだよ。ラブラブだね♡」
見られたら、仕方がない。
先輩を給湯室に押し込んで…
「お願いです。誰にも言わないでください。」
「分かった!誰にも言わないよ。そうだったのか…だから、山上さんお嬢様から逃げてたんだ。」
「…」
「でも、どうして隠すの?あなた達お似合いじゃないの〜」
「まだ、お嬢様のことがあるから…落ちついたら…」
「え?もう落ちついたんじゃないの?」
「今、最後に会いに行きました。」
「え?どうして行かせたの?」
「どうしてって、最後にもう一度会いたい!って…」
「え?あなた知らないの?お嬢様って、相当なやり手よ!」
「え?」
「お嬢様なんて、皆んなわざと呼んでるのよ。お父上が知らないだけで、あちこちで遊んでる女よ!」
「嘘でしょう?」
「私も繁華街で見たわよ。男を取っ替え引っ換え…
あ、早く山上さん、止めた方がいいわよ。」
すぐに電話を鳴らすが、出ない。
「追いかけなさい!私が掛けるから…」
「ありがとうございます。」
着替えもしないで、制服のまま、走った。
エレベーターがなかなか来ないから、階段を使う。
『お願い!凌也、間に合って…』
下まで降りたが、すでに凌也の姿はない。
どこへ行ったのだろう?
駅?それともタクシー?
また、携帯電話を鳴らす。
「もしもし?茉子?」
「良かった…繋がった…」
「ん?どうした?」
「お願い、凌也、すぐに戻って!」
「え?どうして?」
『凌也さん、誰と話してるんですか?』
「え?もうお嬢様と一緒?」
「うん、そうだよ、話しただろ?」
早っ!会社の前で待ってたの?
「お願い!凌也…」プープープー
切られた…
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