結婚

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「社長!お聞きになりましたか?」 「うん、聞いてた。」と、智輝が部屋から出て来た。  どうしても、もう一度茉子に会いたかったが、 会う勇気はない。きっと逃げられるだろうと、松田に頼んで部屋まで連れて来てもらった。 せめて、声だけでも聞きたかった。 「茉子様、社長の好きなプリンを買って来てくださいましたよ。」 「うん、茉子は、やっぱり優しいなぁ」 「結婚されたようですね。」 「そうだな…良かった。幸せになって欲しい。」 「本心ですか?」 「そうだよ。ホントは俺が幸せにしたかったが、俺じゃあ、茉子を悲しませるから…」 「お酒をお辞めになったら良かったのに…」 「そうだな…でも、仕事でどうしても必要なことがあるから…それに、茉子は、俺じゃダメなんだよ。彼じゃないと…」 「松田!俺もマッチングアプリで、結婚相手、見つけようかなぁ〜」 「そうですよ。社長自らが成功すれば、もっと価値が上がりますよ。」 「そうだな…松田、プリンちょうだい!」 「はい、1つだけですよ。」 「なんでだよ。ホントは俺に買って来てくれたんだよ。」 「いえ、松田に買って来てくださったんですから… 1つだけ分けてあげます。」 「松田!」 「ダメです、これだけは社長でも譲れません。」 取り合いをする2人。
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