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なんとかなるなんとかなる、そんなことで怖がっちゃだめだ。
こんなときでも万結は笑顔を忘れない。
そう考えていたら、また惨劇。
がくん、と膝が抜けた。
あ、と思った時にはもう遅かった。
「まさか……」
ごく近いところから涼やかな声がした。
目を細めると、人の輪郭が見えた。
柔らかな黒髪に、聡明で涼しげな目元。
転びそうだった彼女を支えてくれている。
「まさか……わたしが、わたしが」
まるで物語から飛び出して来たかのような美しい男性が、万結の顔を覗き込んでいた。
「わたしが、視えているのですね―――」
わけがわからなかった。
視えている、って何―――!?
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