歯車は動き出す~𝐸𝑝𝑖𝑠𝑜𝑑𝑒 𝑧𝑒𝑟𝑜~

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もしかして、自分はどこか別世界へ行く扉でも開いてしまったのかな。 それだったらチョーすごいよっ!と万結は興味津々。 「み、みえます!」 青年の顔がみるみるうちに綻ぶ。 「……本当ですか! あぁ神様、感謝します!」 青年は感謝の舞を踊る。 「あの、あなたは?」 「も、申し遅れました。わたしの名は志岐(しき)」 志岐と名乗る男性は気分が高揚しているようで、早口で話す。 彼は突然、万結の手を覆うようにした。 「あなたは、命の恩人です」 が、何の感触もなかった。 手を握られている感触がないのだ。 万結の手はむなしく、志岐の手をすり抜けるだけだ。 ……ど、どういうこと? 万結はよくわからなかった。
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