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何が何だか、本当にわからない。
彼を助けた覚えは何一つない。
冷たいものが万結の体をぞーっと走る。
ぞくぞくっと、体が震える。
「その、人違いでは……」
「いいえ。あなたです、阿倍野万結殿! わたしを助けてくれたのは」
自分の名前まで覚えられている。
彼の身体が透けて見えることから、彼はただ者ではない。
「わたしの存在が視えるのは、あなただけなのです」
万結以外の者には志岐が視えないということなのだろう。
だったら志岐は何者なのだろう。
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