歯車は動き出す~𝐸𝑝𝑖𝑠𝑜𝑑𝑒 𝑧𝑒𝑟𝑜~

7/11
前へ
/44ページ
次へ
何が何だか、本当にわからない。 彼を助けた覚えは何一つない。 冷たいものが万結の体をぞーっと走る。 ぞくぞくっと、体が震える。 「その、人違いでは……」 「いいえ。あなたです、阿倍野万結殿! わたしを助けてくれたのは」 自分の名前まで覚えられている。 彼の身体が透けて見えることから、彼はただ者ではない。 「わたしの存在が視えるのは、あなただけなのです」 万結以外の者には志岐が視えないということなのだろう。 だったら志岐は何者なのだろう。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加