真実というのは、----------

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             1.事件の始まり  雨がぽつりぽつりと降り続けるある朝、いつものように車に乗り捜査一課の江草刑事は、警視庁に向かっていた。すると、携帯電話が鳴り、出ると磯崎刑事課長からだった。本日朝は、緊急で申し訳ないが直行で浅錬署へ向かうように言われ少し慌てて車を反対車線に走行して行った。自宅マンションを出てから約1時間後、浅錬署に到着した。浅練署に入ると、すぐに応接室へ案内された。そこには、浅練署三角署長と猪飼副署長と捜査一課磯崎課長とが、待ち構えていた。  江草刑事は、あまりの唐突な風景にやや驚き朝の挨拶を交わした。しばらく、三角署長と磯崎刑事課長は、最近の世間話をしていた。そんな中、江草刑事は、なぜ磯崎刑事課長は、急に私を呼んだんだろうと不思議に思いながら話を聞いていた。 話を聞いていくうちに、何やら浅練署が長年の職場だった元警視庁所属だった確か5年前に定年退職して江頭橋区に居住のはずが所在不明で、埼玉県内で目撃したとかいう余りいい噂を聞かない浮田副うきた きい)を探してほしいとのことだった。江草刑事は彼の警視庁時代の実績ファイルや最後の居住地などの基本情報を受け取り、早速任務にあたることになった。報告関連は、浅練署の猪飼副署長に届けてほしいとのことだった。 応接室に猪飼副署長と江草刑事とが残り、今回の浮田氏の身元 捜索の主目的について確認していた。3年前に江頭橋区で起こった人質誘拐事件の犯行グループや去年の埼玉県内で起こった誘拐事件にも関与の疑いが強いということだった。警察内部にも内通しているらしい人物をリストアップしていくと挙がってきたとのことだった。江草刑事は、車に乗り浅錬署を出て、浮田氏のかつて居住地だったらしい江頭橋区のマンションへ向かった。  マンション前に着くと、管理人に警視庁である旨を伝え、浮田氏の住んでいた部屋へ入ると、何年も彼が帰ってないままになっていた。何か手掛かりはないか、衣装箱や机の中を探ったが微塵も見つからなかった。カレンダーも新品同様きれいに、何も記入されてなかった。しばらく、ukita氏が使っていた食卓の椅子に座り、一体消息を絶ったのはなぜか、なにゆえにこの部屋を出ていったか等々考えを巡らせていた。そして、食卓の上にメモを置き、今後の独自捜査の優先順位を整理していた。何かと走り書きをして2、3時間じっくり考えていた。 そして、早速江戸橋区区役所へ訪れた。江戸橋区の住民課へ行き、警視庁である旨を伝え、浮田氏の住民基本台帳を閲覧させてもらった。特に彼が警視庁勤務時代に丸太円区より転出してきた13年前の転入届以外特に何の異動もないままだった。ただ、猪飼副署長からの情報によると警視庁の時代は、前半ほとんど本庁勤務で主に総務課所属であり、後半は、なぜか派出所勤務や交通課勤務で定年退職を迎えていた。いわゆる何故かの左遷のように目に映る。これは、今現在もう彼は年齢65歳であり、警察の元同僚ももちろんOBであり少し沼津氏の足跡を追うのは大変だなと江草刑事は感じていた。そして、あっという間に夕刻になり警視庁ビルへ車で戻った。捜査一課へ戻ると、磯崎刑事課長が、 「あ、江草君、お疲れさんです。どうです。捜査の状況きつくはないでしょうか。」 と言った。 江草刑事は、 「そうですね。浮田氏の足跡を追いかけ始めたばかりですが、かなりベールに包まれていて手ごわそうですね。しかし、人質で1人命を亡くしてますしもちろん頑張ります。」 と言った。 磯崎刑事課長は、 「あっ、そうですね。独自捜査ということですが、江草君、大丈夫です?ま、私も、実は2週間前にこの話を浅練署と上からの指示で江草君にと持ち掛けられ随分部長とも悩んだんですが、今回頑張ってくれると信任するしかなかったんです。」 と言った。 すると、江草刑事は、 「ま、何ですか。磯崎課長、水臭いですね。大丈夫ですよ。私は、まだまだやりますよ。」 と答えた。そして、2人は、しばらく笑い合っていた。  その後、明日からの捜査の準備と浅練署の猪飼副署長宛に捜査の状況のメールを送信した。
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