真実というのは、----------

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           1.新たに事件か  3年近く神奈川県警への出向を終え、江草刑事は、久しぶりの警視庁勤務に戻った頃のことだった。年も暮れ、東京の夜もちらほら雪が舞い降りてき始めた頃、警視庁捜査一課に、1人の中年男性が訪れてきた。丁度その一週間前に少し大きな事件を解決し終え、歳末警戒見守りパトロールを特別に昼過ぎから取り入れ戻ってきた江草刑事があれと少し気になったその男性が木崎刑事に何か相談に来ていた。  江草刑事が、そろそろもうすぐで今年も終わりだなと思っていた矢先、木崎刑事が相談を終え磯崎課長と何やら話し合っていた。そのうち、磯崎刑事課長が、声を荒げ、 「それは、いかん。もう、年末だ。無理だ。木崎君、いい加減にしたまえ。」 と言うと、 木崎刑事は、 「そこを、何とか。お願いします。」「どうか、お願いします。」 と何回も懇願していた。 そして、どうやら磯崎刑事課長が、突然 「いい加減にしてくれたまえ。勝手にしなさい。」 と大声で伝え、席を足早に離れた。 捜査一課のうち、ほとんどが現場に出向いていてそこにいた江草刑事と事務員3人と山縣刑事が皆、急に何事かとびっくりしていた。  しばらくして、木崎刑事が、少し事務処理を終え席を立とうとした時、少し嫌な予感がしたため江草刑事が呼び止めた。 「木崎君、ちょっと、待ってくれる。さっきの相談事って何か教えてくれる。」 と声をかけた。 すると、木崎刑事が、 「あつ、江草さん。戻っていらっしゃったんですか。あっ、あのさっき話していた ことですか。」 と言った。そして、江草刑事が、 「そう。こんな年末時に急いでいたらよくことわざにもある通り、自ら墓穴を掘ること多いよ。遠慮しないで私に話してくれないか。」 と言った。 木崎刑事が、少し黙り込んで何やら考え、 「江草さん。ご心配なく。また戻ったら話します。」 と言い、警視庁ビルを夕方になる少し前に出て行った。 そして、1時間程して、一本の電話が捜査一課にかかってきた。 事務員の鴻池氏が、慌てて受話器を離し、 「捜査一課全員、早く電話をオンラインしてください。早く。」 と呼びかけ、江草刑事も山縣刑事も大急ぎで、電話を録音にオンし繋いだ。 そして、しばらく会話内容を聞いていた。 2人ともびっくりでこれは、都内準大手リタッカーのオーナー六田 雅之氏の養子六田 清起が誘拐されたらしい。また追って連絡するとの内容だった。 番号通知では、都内の公衆電話で、都内の江戸頭橋駅前の設置番号であり時刻は、12月29日午後6時25分であった。  緊急事態の呼び出しで慌てて磯崎刑事課長が、戻ってきた。
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