真実というのは、----------

9/21
前へ
/21ページ
次へ
           9.事件を追う  秋山刑事と江草刑事は、神奈川県警本部ビルへ戻り、捜査一課の今回の殺人事件 対策本部を立ち上げる準備をしていた。  3時間程かけて、捜査一課で準備を終えると、江草刑事と秋山刑事は、休憩室へ 入り、江草刑事は、 「今回の事件によく似たケースで、私が、警視庁に入って5年ほどの頃に同僚が襲 われたことがあった。あれは、同僚は、命はとりとめてホシは捕まえたが、どうで しょうねえ。」 と言うと、 秋山刑事は。 「うーん。今回、来藺君は、新聞記者失踪の焦点どこまでつかんだかとこれとは別 件の可能性ありかでしょうね。私の推理では。」 と言った。 しばらく2人は、今回の件について話していた。そして、夜になり、2人は帰路に ついた。  翌日になり、神奈川県警本部では、捜査本部が立ち上げられ今回の被害者は現職 刑事ということもあり大勢の捜査官が取り掛かることになった。 捜査対策本部長は、神奈川県警本部長が、指揮を執り、 「今回の事件は、職務に全く問題もなく、一心不乱に取組んで下さっていた来藺君 のためにも捜査官全員の協力で、彼の無念を晴らしていただきたい。」 との一声で始まった。  早速、鑑識課より現場検証の結果、事件発生時刻は、通報時刻午前9時45分の 5分前の午前9時40分と推定されるとのことだった。目撃者はなく、その時刻前 後だが、狭い通路の入口から犯人が出た可能性があり、商店街のモニターは、その 付近のみ死角であり今後も分析を急ぐと報告があった。近辺を事件直後に行った捜 査員の聞き込みの結果では、まだ定かではないが、商店街を一人で歩く島中刑事ら しき姿を見たという報告があり、足取りを追ってみるとのことだった。  以上の報告後、捜査員は、一斉に持ち場へ戻った。 江草刑事たち捜査一課15名は、担当割り当ての発表をしばらく受け、現場付近や 捜索に向かった。江草刑事は、警視庁捜査一課のベテランエースということもあ り、独自捜査で励んでもらいたいとのことだった。  しばらく、捜査一課で彼は、来藺刑事の捜査担当ファイルや遺留品のメモ帳より 情報を収集していた。すると、捜査担当ファイルには、島中刑事が担当になった日 内新聞新聞記者の名前 瀬野義之 相談受付日付は、2カ月前になってあり、相談 者は、元同社勤務の 早島秀和 という掲載があった。相談案件は、瀬野氏が1年 前に出社しなくなり彼の居住地所轄の横波署に届け出たがなかなか行方不明のまま で、彼の同僚大北 正雄記者が変死したり彼が記者時代に親密にしていたらしい企 業、木ノ内産業のオーナー 木ノ内 忠行が変死という奇妙なことが起こり不気味 で日内新聞の副社長古見 佳彦からの依頼らしいことが記載されてあった。遺留品 のメモには、日時の数字と面会者の氏名らしきものが記入してあり手掛かりにと江 草刑事は、もう一つ買ってあった新品のメモに転記した。  情報収集が終わり、江草刑事は、 「ふー。」 と息を吹き出しこれは、すごい事件になるぞと心の中でつぶやいていた。  早速、江草刑事は、失踪したとされる瀬野氏の居住地管轄の横波署へ車で向かっ た。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加