カランコロンの歌

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カランコロンの歌

 駅前のこの風景を見るのは何年ぶりだろう。  この街に来れば、いつかの二人と逢えるような、そんな気がして。  ばったり出くわしてもいいようにと、せいぜい格好つけて歩いているところ。  歩くしかない。  歩くことしかできない、お前の名前は意固地(いこじ)。  カランコロン、カランコロン  粋がっている音を響かせながら。  駅前のこの銭湯に入るのは何年ぶりだろう。  この街に来れば、いつかの二人に遭えるような、そんな気がして。  うっかり出くわしてもいいようにと、せいぜい身綺麗に取り繕っているところ。  歩くしかない。  歩くことしかできない、お前の名前は意気地(いきじ)。  カランコロン、カランコロン。  粋がっている音に酔いしれながら。  駅前のこの公園で佇むのは何年ぶりだろう。  この街に来れば、いつかの二人に会えるような、そんな気がして。  ちゃっかり出くわしてもいいようにと、せいぜい芝居がかって煙草吹かしてるところ。  歩くしかない。  歩くことしかできない、お前の名前は依怙地(えこじ)。  カランコロン、カランコロン。  粋がっている音で慰めながら。
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