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子供と結婚
なんか、揺れてる?
「……」
ぼんやり見えたのは、可愛い男の子の顔
「起きたかっ!!」
「…?」
「アイザック様、近づかないでください。」
「なっ、離せノートン!!」
「アイ…ザ……っっ!!」
少年を私から引き剥がした男には見覚えがある。
「あの時のっ!!」
私の腹を殴って気絶させた男。って事は、私は既に売られてるか、売られる前…。どちらにしても逃げないと…。
この馬車の重厚な作りからして、既に売られた後の可能性の方が高い…
きっとこの金持ちが経営してる娼館にでもいれられて、一生男相手に働かされるんだわ…。
馬車を降りたら一目散に逃げるわ!
もう起きてる事は気がつかれてるんだし、最高の逃げ出し体勢をつくらないと!
「ドロシーっ!」
「……」
何なの、さっきからこの男の子は…。まぁ、敵にわざわざ返事することもないわね。
「む、オレ様が呼んでるのに、返事をしないなんて。」
「オレ様?」
まさか私はこの子に買われたの…?奴隷にでもされるとかね…。
「何をじっと見てるんだ!さてはオレの事、好きになったんだな!いいぞ…けっけっけっこんしてやっても。」
…けっこん?
「おめでとうございます。ドロシー・スナリオ様、今日から貴女はアイザック・ルートニア様の婚約者になりました。」
「…冗談はよしてください」
何を言ってるの、この人は…。
「…けっこん…するんだ!!ドロシーはオレとけっこんするんだ!」
「え…あ…泣かないで、言ってみただけよ」
「そうか、やっぱりドロシーもオレのことが好きなんだな!」
何がやっぱりなの…
黒髪の目付きの悪い男に、銀縁の髭眼鏡のオッサンに金髪で碧い目の男の子。
貴族の坊っちゃんの我が儘を聞いて、買われたのね。
「っちょっと!下ろしなさいよ!」
馬車から降りたら逃げるつもりだったのに、黒髪の男にかつがれてそれも出来なかった。
今日まで逃げ切ってきたのに!!
かつがれて連れて来られたのは、物凄くキレイな部屋。
「ドロシー!好きな食べ物はなんだ!」
「へ?チョコレート…かな。」
「チョコ!!オレも好きだぞ!一緒だなっ!」
「っそんなのはどうでもよくて!!」
「どうでもよくないぞ!オレたちけっこんしたんだからな!」
「けっこん…?」
さっきから、まさか本気でいってるのかな…。
「私はどこへ連れていかれるの…?」
「ん?城だ。」
「シロ……」
私が知らないだけで、シロって領土があるのね。
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