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「どこの誰だか知らない程度の貴族様なんですね。」
「口を慎みなさい!彼はこの国の王太子なのですよ!」
「へぇ…王子だか王太子だか何だか存じませんが、そんなに有名な方がなぜ私と結婚する事になるのか、それの方が解らないわ。」
「それはもうどうにもなりませんので。」
「…どうにでもなるでしょ。家に帰して。」
髭眼鏡と話していると、にゅっと私達の間にアイザック坊っちゃんがわって入ってきた。
「ドロシー、この水色のワンピースにしよう!」
目がキラキラしてる。
「服じゃなくて、何を聞いてたの、アイザック坊っちゃん……ん?」
…ちょっと、アイザック坊っちゃん、その服の値札見ましたか!?私がいつも買う服の100倍の値が…!
…後で請求されたら、私はとぶわよ。
「…オレの選んだ服を着たくないのか?」
「いや、そうじゃなくて…え?あの、泣かないで。着るから。」
我が儘にも程があるでしょ。まわりも何とか言いなさいよ。
「はぁ…。わかりました。とりあえず1度行きます。」
「ドロシーは帰らないぞ。ずっと城で住むんだ。うれしいか?」
「……」
「う、うれしくないのか?」
「嬉しいよ。」
「そうか!やっぱりドロシーもオレのこと好きなんだな。」
もう、そういう事にしておこう。
それから9日間、我が儘なアイザック坊っちゃんとお買い物したり、ご飯を食べたり。
『ご飯を残さず食べなさい』って言って泣かれたり、夜は一緒に寝たり…これは子守りじゃないの?
逃げようとしても、このノートンとかいう男に絶対捕まるし…。
『けっこん』だなんて言ってるけど、そのうち彼女が出来て『金はいくらでもやるから出ていけ。』とか言われるんじゃない?…それもアリだわ。別に結婚に執着ないし、1人でこの先暮らせるお金を手に出来ればいいよね…。
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