魔術のくつ

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「失礼致します。」 部屋から出ると、ポフっとアイザックが抱きついてきた。 「父上に会ったのだから、オレたちけっこんだな!」 「アイザック坊っちゃんはまだ7才なので、結婚はできません。」 「む、坊っちゃんとはなんだ。夫にむかって。」 「…では、何とお呼びすれば?」 「『アイク』だ」 「では、アイク、この国では18才にならないと結婚できません。」 「ダメだ!すぐにけっこんする!」 まわりもニコニコしてないで、誰かアイク坊っちゃんの愚行を止めてよ! 「国の決まり事は、王子様でも変えられません。アイクが結婚できるのは11年後です。」 「ふむ、じゃあそれまでは『どうせい』だな。」 「アイク、その時私が何才かわかりますか?」 「ん?29才だ。」 「そう29才なんです。11才も違うんです。」 「だからなんだ!オレの海よりもふかい愛は死ぬまでずっと続くんだ!」 子供なのに…愛とか言っちゃうところは可愛い。 魔法を解けば帰れる訳だし、早く20才に戻ってもらおう。 「ここがオレたちの部屋だ!」 自慢げに見せられた部屋、私の家の敷地よりこの部屋の方が広いってどういう事なの。 「いちおうけっこんしてないから、別々のベッドだ。」 「はい。」 この9日間ずっと一緒に寝てたのに…今さら。 アイクって大人の記憶って残ってないの?行動からして確実に子供なのはわかるんだけど、20才の記憶もあるなら一緒の部屋は困るんだよね。
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