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月曜日 さゆり
「コロー!」
とっくに昇っていたであろう朝日とやかましい少女の声で目が覚めた。もう少し眠っているつもりだった吾輩は少々不機嫌ながら声の出処を見た。
声の出処はすぐにわかった。吾輩はそちらに目を向ける。
その少女は、ランドセルと呼ばれるカバンを背負って、ぱたぱたと駆け寄ってきた。
その姿を見て、吾輩は昨日の光景を思い起こした──。
「ひくっ…グスッ……」
弱った。そう思った。
吾輩の視線の先には膝を抱えて泣いている少女がいた。
生憎泣いている少女を放置するわけにもいかないのだ。それは吾輩が紳士的であるという理由以外に、重要かつ深刻な問題がある。
「ぅ"ー...わぅっ!」
吾輩はその問題を訴えかけた。
そこは吾輩の寝床である!と。
しかし、必死の訴えであるにも関わらず少女は体を動かさなかった。代わりに頭と視線を動かし吾輩を見た。
その少女は肩の辺りで切り揃えられた髪を揺らして吾輩と視線を合わせた。
吾輩に負けず劣らずのつぶらな瞳を持っている。なかなかに可愛らしい少女である。
少女は口を開いた。
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