リラ、初出勤する

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リラ、初出勤する

 翌日早朝、リラはクリスタル清掃に出勤した。  小さな清掃会社で、入社式もなにもない。  会社に到着すると、以前ビルの裏側で会ったお爺さんがいた。 「お嬢ちゃん、クリスタル清掃へようこそ」 「あっ!あの時のお爺さん!私、お爺さんにお掃除は天職だって言われて、この会社を受けたんです」 「そうか、そうか、そう言ってくれると嬉しいぞ。儂は、この会社の社長の倉持銀次郎じゃ」 「ええっ? お爺さんが社長だったのですか!」 「社長といっても小さな会社で皆パートやアルバイトの人ばかりじゃ。白状するとな、正社員はリラちゃん一人じゃ。儂のことは銀さんと呼んでくれ」 「はい! では、私のこともお嬢ちゃんではなく、リラとお呼びください」  リラがそういうと銀次郎は大声で笑った。 「一本取られたな、お嬢ちゃん……ではなくリラちゃん。今日からよろしくな」 「はい! よろしくお願いします」  リラは元気に返事をした。銀さんから作業服を貰って、リラは着替えた。  淡いピンク色のシャツとパンツに、グリーンのエプロンとリュックと帽子がセットになっていた。  リュックの中には清掃に必要な小さな道具が色々入っていた。
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