リラ、16才の誕生日を祝ってもらう

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 ギャルソンがお料理を運んできて、リラは生れて初めてのフルコースディナーを味わった。 「キャビアのアミューズでございます」  ギャルソンが、小さなキャビアのタルトをサーブした。 「ママ、アミューズって何?」 「お楽しみって意味の、小さなお料理よ。そのまま、手でつまんで頂きなさい」  一口で食べられる小さなタルト生地はサクサクして、プチプチしたキャビアの下にはとろりとしたクリームチーズが隠れていた。  口の中で、違う食感がまじりあい、キャビアの塩気が心地よかった。  リラは、あまりのおいしさに無口になった。  フォアグラのポワレは焼き目がカリッとして、中はとろりとしていた。  トリュフ入りコンソメスープはとてもよい香りと繊細な味が舌に優しかった。  鮑のステーキ、オマール海老のローストと少しづつ美しく盛られたお料理がサーブされた。  ママ仕込みのマナーは立派なもので、初めてだというのにリラは、コトリとも音をさせずにカトラリーを扱った。  その優雅さは天性のものを感じさせた。 「リラちゃん、初めてだって思えない程優雅にお料理を食べるね。ここが行きつけだっていうサムはガチャガチャと騒がしいのにね」 「料理なんて美味しく食べればそれでいいんだ。リラもそんなお上品に食べなくていいんだぞ。貸し切りなんだ、大口あけて食え」  リラの前でマウントを取り合う賢人とサムを、沙羅が微笑みながら見ていた。
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