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「それなら、もっと給料の良い大手の会社に就職すればよかったのに。お前の成績なら御剣物産でも大丈夫だと言ったのに」
超大手企業御剣物産は、給料も福利厚生も最高レベルの会社である。
一方、クリスタル清掃は、キツイ、汚い、危険の3K仕事である。
若い女の子に勧めたい会社ではなかった。
佐藤は御剣物産の選考試験を受けるように何度も進めたが、リラは言った。
「私は、クリスタル清掃に行きたいです! 私はビルを綺麗にする仕事がしたいです!」
ある日、大きなビルの裏手を通ったリラは苦しそうなお爺さんを見つけて声をかけた。
お爺さんはクリスタル清掃の清掃員でビルの清掃をしていたのだが具合が悪くなってしまったのだ。だがお爺さんは代わりの人がいないと無理して仕事をしようとしていた。
そこで、リラはお爺さんを手伝ってビルの清掃をしたのだった。
仕事が終わるとお爺さんが言った。
「お嬢ちゃんは清掃の仕事にむいておる。あんたの掃除には心がこもっている。清掃はあんたの天職じゃよ」
リラは元々、掃除や片付けが得意だった。
洗濯や染み抜きも特技で、何かを綺麗にすることが根っから好きだった。
だから、掃除をするのが楽しかった。
お爺さんのいうとおり、自分の天職かもしれないと感じたのだ。
そこで、クリスタル清掃への就職を決めたのだった。
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