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「ママ、明日は病院ひとりで行ける?」
「一人で大丈夫よ。リラは学校に行きなさいね」
だるくて動けないのに、色々検査をしても悪いところが見つからなかった。
結局精神的な病気ではないかと言われ、定期的に受診している。
心の病気は簡単に治らないので、時間をかけて治さなければいけないとケースワーカーの大谷さんも言っていた。
早く治るといいけれど、ママを焦らせてもダメだとリラは思っていた。
ママは胸に下げているペンダントを握りしめていた。少し不安に思っているのだ。リラの父哲也の写真が入ったロケットペンダント。
ママは不安になると必ずペンダントを握りしめる。リラはよく覚えていないパパだけれど、ママにとっては今も頼りにしている存在なのだと思う。
お嬢様とかお金持ちとか、リラはおとぎ話でしか読んだことがないから実感がない。でも、ママが優雅に刺繍をする姿を見ているとお姫様の様に見える。
そんな生活を捨てて、パパと結婚したのだから本当に大切な人だったのだろうと思う。
リラは自分の記憶の中にパパがいないことが本当に残念だった。
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