リラ、憧れのケーキ店に行く

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リラ、憧れのケーキ店に行く

 3月、リラは中学を卒業した。  卒業式には沙羅も出席することができて、リラは嬉しかった。 「リラ、卒業おめでとう!」  卒業式の帰り、リラは沙羅と憧れのケーキ店に行った。  ヨーロッパのお屋敷のような建物で、宝石のように綺麗なケーキがショーケースに並んでいた。ケーキ売り場の横が喫茶店になっていて、そこで食べることができる。  今日は、卒業のお祝いにママと二人でケーキを食べることにしたのだ。 「なんでも好きなケーキを選ぶのよ」  リラは沙羅と一緒に悩みに悩んで、艶やかに赤く輝くキイチゴのムースと美しい黄緑のメロンタルトを選んだ。  バラの花模様の美しいポットに入った紅茶と一緒に運ばれてきたケーキを前に、リラはため息をついた。 「ああ、ママなんて綺麗なの。食べるのがもったいないわ」 「ふふ、しばらく見ていましょうか」  リラと沙羅は、キラキラ光るケーキを向かい合ってしばらく眺めていた。  リラは最高に幸せな気分を味わっていた。  その時だった、店の前に大きな車が止まり、運転手が降りてドアを開けた。  車から背の高い男性が降りてきた。上等そうなベージュのスーツを着た若い男性は、姿勢が良く、整った顔立ちをしていて周りの女性が振り向くほどだった。リラと沙羅も、思わずその男性を見た。 「まあ、素敵な人ね」 「うん、モデルさんみたいね」
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