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帰宅した息子に、お供えを持たせて学校まで送りました。 子供を送ってきたお母さんが、私ともう1人だけだったので 子供たちだけで行かせるのも気になるし、ということで私たちも子供たちについて行きました。 まだ四十九日も済んでいなく お骨が遺影や位牌の隣にありました。 訪ねて行った時はお母様も気丈に振舞ってらしたのですが、部屋に入り切らないくらいの子供たちの訪問に、そのうちに涙を流し始め 「こんなに、みんなに来てもらって…」 と喜びと悲しみが入り交じったような様子でした。 子供たちが、どうしたらよいのか…と迷っている様子だったので 「みんな、会いたくて来たんだもんね。写真の前まで行ってお話してあげたらどう?」 と、お節介かなと思いながら、私がひと言だけ口を出すと ひとり、またひとりと遺影の前に座って思い出話を始めました。 お母様はそれを聞きながら、泣いたり答えたり頷いたり なかなか踏み出せない子には、子供たちがお互いにフォローし合って、まるで「行ってこいよ」と言うかのように優しく背中を押してあげていました。 私たち親は子供たちの背中側から見ていましたが、涙を堪えられませんでした。 「また来るね」 と部屋を後にして玄関を出て、みんなでお母様に 「今日はありがとうございました」 と、ご挨拶をしていて。 なんて立派に育ったんだろうと思いながら、私たちも 「今日はありがとう。たくさんで押しかけて…」 と言い終わらないうちにお母様が 「なんで、この中にうちの子だけいないのか…」 と、ぼろぼろ泣くので私たちも泣きながら抱きしめました。 こんな台詞を実際に聴くことになるなんて… 悲しく辛い思いをさせたかもしれない。 そう思いながら、 でも子供たちの気持ちを受け入れてくれたことに感謝の気持ちでいっぱいでした。 あぁ……こんな思いは懲り懲りです。
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