帰り道は危険がいっぱい

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帰り道は危険がいっぱい

ランチ休憩を終えて、広いオフィスフロアへと戻ってきた。社屋はワンフロアオフィスの造りになっている。支社が本社との統合のために移転してから、半年が経った。 職種としてはサービス業。インテリア雑貨の通販業務をしている会社に勤めて、もう四年になる。 ワンフロアなだけあって無駄がなく、洗練されたレイアウトのオフィス環境。おかげで、支社にいた頃より仕事はストレスがなくできる。 自分のデスクに荷物を置いて周囲を見渡し、目線の先に少し離れたシマにいた諸橋(もろはし)さんを見つけた。 今のうちにつかまえて用を済まさないといけない。諸橋さんはバイヤーをしているので、社内にいる方が珍しいからだ。 正午前にメモをした用紙を掴んで、諸橋さんのところへ駆け寄った。 「諸橋さん、お疲れ様です」 「あ、お疲れ様。筑波(つくば)さん」 「これ、坂下(さかした)主任からの伝言です」 「あー、何?ラブレター?ありがとう」 「いいえ、どう致しまして」 詰まっているのは坂下主任からの仕事愛だ。 冗談を笑顔で受け流すと、諸橋さんの向かいの席にいた野中さんが話に入ってきた。
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