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礼服は煌びやかで重かった。
髪を結い上げ、宝玉で彩られた簪をさし、頭の頂きには王冠を授かる。
病がちの父は、このときばかりは押して前王として儀式に臨んだ。
バルコニーから広場を見下ろせば、民衆が押し寄せてつどっているのが見える。皆、興奮を隠せない様子だった。
私は背後にアリオワの気配を感じながら息を吸い込み、声を張った。
「皆の者! 私は、いついかなるときも、どのような場合にも、どのような相手であっても、在るべき在り方を崩しはしない! 国に魂を捧げ、いかなる害悪も排除する! 私の可愛い民よ、私を信じ共に生きてくれ!」
割れんばかりの喝采を浴びながら、私はアリオワと共に──立場こそ違えど──アリオワに支えられ守られて生きられる人生に満足していた。
アリオワは私を守ってくれる。
ならば、私もアリオワという近衛隊長が壊されないように守ろう。
いついかなるときも。
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