息子 part2

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息子 part2

血走った目で、 「おふくろを出せ!」 50代前半だろうか? 夜中に歓迎されない訪問者。 遡ること3時間前、前置きもなく失礼な電話があった。 「今から金を取りに行くから準備しておくように、おふくろに伝えとってくれ!」 ガチャン! 名前ぐらい言えよ! いつもの事なので、名前を言わなくても誰か分かる。 だけど心配はそこじゃない。 おふくろ=彼女は、今お金がない。 先月も奴はお金を取りに来た。 そして、まだ年金が出ていない。 彼女に伝えると、案の定 「来られてもお金無い!」 「来んようにゆうといて!」 こちらも残金は把握している。 息子に折り返し電話するも繋がらず。 何時に来るか分からないので、上の了解をとって若い衆(いつの時代?)二人に応援をお願いする。 鍵ひとつで安全確保できる建物だったら良かったのに、夜中でも出入り自由なところ。 裏目に出た そして今、 「本人は会いたくないそうです」 「会わんでも良い、金を渡せ!」 「年金が入ってないのでお金がありません」 「嘘をつけ!金がないと困る!とにかく出せ!おふくろ名義で貸せ!」 ワケわからんこと言ってる 酒臭いし、唾はとんでくるし、強面だから若い衆がビビってる。 「貸す義理はない」 「無いものはないんです!」 こちらも譲れない。 ちなみに警察呼んでも民事で手が出せないのは経験済み。親子だからね~ 押し問答で30分。 突然 「あっ、時間がない!行かないと!」 と言って彼は去っていく。 「なんであんなになってしもうたんか」 「はよ死にたい」 彼女は泣きながら頭を下げてくる。 息子はアルコール依存症 お酒が入っていない時は、借りてきた猫のようにおとなしい。 お酒が入ると人が変わってしまう。 あの後、行政から説得(脅迫?)されて入院し、ちょっと持ち直した。 でもしかし、季節の変わり目に 「食べるものがない」 「金を送ってくれ」 と、連絡かある。 その度に彼女から、 「息子に送ってくれ」 と、一万円渡される。 彼女と相談し、2000円を送金、8000円分の食料を送る。 これは彼女が亡くなるまで続いた。 彼(息子)は、18になった息子(孫)と一緒に住むようになり、何とか持ち直していると聞いた。 このまま18歳の息子(孫)を見習って、改心して欲しいと、心から思う。
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