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薄暗い路地を歩くと、すぐに黄色ペンキが錆びた鉄の階段にぶつかった。
珍しい、路地の道が鉄骨通路だなんて。
登って、きっとすぐ降りるだろう。
そう思ってカンカン音たて階段上る。
しかしツイてない時はとことんついてないものだ。
すぐに階段を降りると思ったら、気がつけば降りすぎている。
ここはビルの非常階段か。
薄暗い通路には弱い蛍光灯がちらついているばかり。
ひたすら黄色に染められた鉄の階段がずっと続いている。
……待て待て。
路地通路からどうして非常階段につながったんだ?
というか、こんなところウロついていたら、確実に遅刻じゃないか。
焦る気持ちから、近くの人に道を聞こうと見渡した。
階段を降りている人はまばらで、どうにもどこかの作業員の人のようにしか見えない。
迷ったが勇気を振り絞って、一人の作業員に階段の出口を聞いた。
「ここの出口はどこですか?」
「ああ、ここはよくみんな迷うんだよ。ついてきな」
その言葉に安心してついていく。
しかしカンカンカンカンひたすら進むは降りる階段ばかり。
地下にしか進んでないじゃないか。
本当にこれであってるのか?
この人、からかってるんじゃないだろうな?
思わずイライラして問いかけた。
「これ本当に出口なんですか?」
しかし作業員はニヤニヤ笑うだけだ。
イライラもピークになって、思わず叫んだ。
「私はただ、コンビニに行きたいだけなんだ!」
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