「フリーマン」

この日もユウは、自分だけのキラキラを探そうと本屋さんに来ていた。

最近は管理局の人がいつも入り口にいたから、ちゃんと鼻歌がばれないように、入り口では歌うのをやめて入る。

けれど店の中に入れば、管理局が選んだ音楽や宣伝がうるさく鳴り響いていたから、歌ったってバレやしない。

ユウはいつものように、誰も見向きもしない音楽コーナーの隅っこで、気になる音楽カードを選んでいた。

ふと、気になる音楽カードを見つけた。
きっと友達に見せたら、下手くそな絵、と笑われてしまいそうなイラスト。
けれど、空や海をめいっぱい力いっぱい表現したそのイラストは、どうしても気になった。

試しに聞いてみよう。
そう思っていつもの視聴コーナーに音楽カードを持っていった。

聞いてみて、ユウはその音楽が気に入った。
のびのびして、ワクワクして、何より、とっても楽しそう！

最後までその音楽を聞いて、その日は帰った。
とびきりのキラキラ見つけた！
明日もこの音楽を聞きに来よう。

思わずスキップして帰る自分の後ろ姿を、店の中でこっそり見ている人がるなんて、この時どうして気がついただろう。

だってこの時、ユウはとびきりごきげんだったのだから。