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 とは言ったものの。 「あんたの目、全然見えないんだけど!? 本当にこれで感覚を共有してるの!?」  キャンバスを持った彼女がキャンキャン吠える。  彼女の頼みはこうだ。  視力が完全になくなってしまう前に、大きなキャンバスに流星群を描きたい。だが、自分の視力だと見える星は限られる。だから、俺の魔法を借りて、俺の目を通して見えた星を掬い上げて絵にしたい。  しかしそう簡単に事は進まなかった。  俺の目には水面に映るたくさんの星が見えているのに、彼女にはそれが伝わらない。 「悪い……正直、家族以外と『共有』したことがないから感覚が掴めないんだ」 「それで労働事務所に魔法使えるって申請出してたの? そりゃ追い出されるよ」  呆れたようにそう言いながら、またスケッチブックを引き上げる。描かれている星は1つか2つ。空にはこんなにもたくさんの星があるのに。 「はあ……でも今日が12月1日でしょ、あと2日あるから」  彼女は、自分にも俺にも言い聞かせるように呟いた。  不安げな彼女と俺の心を表すかのように、灰色の雲が空をゆっくりと流れていった。
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