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Ⅶ
「どこに行くの!?」
俺の背中で叫ぶステラに、俺も叫び返す。そうしないと雨で声が聞こえないのだ。
「ウエスト地方! この森を越えたらすぐのはずだから!」
雨は顔を叩き、濡れた体を風が冷やす。ステラが大きなキャンバスを背負っていて、何度も風を受けて転びそうになる。だが転んだらキャンバスも彼女も俺もお陀仏だ。しっかりしろ、と心の中で自分に喝を入れた。
暗い森の中を、バイクの灯りを頼りに進む。ぬかるんだ道にタイヤを取られぬよう、俺はもう一度しっかりとハンドルを握りしめた。
雨が小雨になってきた頃、森を抜けた。空を見上げると、灰色の雲が風に流れ、その隙間を縫うようにいくつか小さな星が見える。
「ステラ、星だ! 星が見える!」
寒さも何もかも忘れ、俺はアクセル全開にしてスピードを上げる。
きゃあっと楽しそうな声が背中から上がる。それに少しほっとしながら、俺は『メテオラ湖』という案内板の示す方へ舵を切った。
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