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 深い青の絵の具をこぼしたような湖に、夜空に瞬く星がいくつも映っている。 「ここなら描けるはず、どう?」  おっかなびっくりバイクから降りた彼女は、湖に駆け寄った。うん、うんと何度も水面を見て頷く。 「うん、描けると思う。でももうほとんど、見えてないんだ」  彼女はごしごしと目を擦った。  俺の目を、視界を彼女に共有できたら。  感覚の共有ができた時のことを、なるべく鮮明に思い出す。心の奥にしまい込んだ、苦い思い出。どうして父と母にだけ共有できたのか。何を思い、なぜ共有できたのか。 「ステラ、手を貸して」  俺はそっと彼女の両手を取った。目を瞑って、と囁くと、彼女は俺に顔を向けたまま目を閉じる。  俺も静かに目を閉じた。  必要なのは、強い思い。  伝えたい、伝わってほしいという俺の願い。  ぐっと目に力を入れた。頭の中で火花が爆ぜる。目が熱を持ち、その熱が体に、指先に、彼女に伝わる。 「……汝に我の力を分け給え」
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