105人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
Ⅰ
煉瓦造りの建物が並ぶ街の片隅に、小さなギャラリーがある。
『Star Collection』
それが、このギャラリーの名前。外壁には流れ星が象られた吊り看板を掲げており、窓からは美しい夜空が描かれた絵を覗き見ることができる。
俺は、このギャラリーのオーナー。と言っても、肩書きだけだ。絵を描いているのは俺ではない。
壁に飾られた一等大きな絵。
濃紺の空に、キラキラと小さな星がいくつも瞬いている絵。見ていると、まるで本物の夜空のような深いネイビーに吸い込まれそうになる。
この絵は普通の絵ではない。星を掬って、キャンバスに描いているのだ。
『星集めの絵』、それがこの絵の名前。
そしてそれを描く者は、『星集めの画家』と呼ばれる。
これは、『星集めの画家』と呼ばれる女の子と、俺の物語だ。
最初のコメントを投稿しよう!