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 煉瓦造りの建物が並ぶ街の片隅に、小さなギャラリーがある。 『Star Collection』  それが、このギャラリーの名前。外壁には流れ星が象られた吊り看板を掲げており、窓からは美しい夜空が描かれた絵を覗き見ることができる。  俺は、このギャラリーのオーナー。と言っても、肩書きだけだ。絵を描いているのは俺ではない。  壁に飾られた一等大きな絵。  濃紺の空に、キラキラと小さな星がいくつも瞬いている絵。見ていると、まるで本物の夜空のような深いネイビーに吸い込まれそうになる。  この絵は普通の絵ではない。星を掬って、キャンバスに描いているのだ。  『星集めの絵』、それがこの絵の名前。  そしてそれを描く者は、『星集めの画家』と呼ばれる。  これは、『星集めの画家』と呼ばれる女の子と、俺の物語だ。
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