また会う日まで

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 しかしその瞬間、ぐっと服の袖を誰かに掴まれたような感じがした。 ハッとし驚いて振り返るも、誰もいない…。 そうこうしているうちに、電車が到着した。……なんだかもうその電車には乗る気が湧かず、俺は駅を出て歩くことに決めた。  …本当に、今日は凍えそうなくらい寒い。 身を縮めつつ歩みを進めると、前方に一組のカップルの姿が。二人ともまだ高校生だ。 女の子の方がぴたりと彼に寄り添い、彼のコートのポケットに自らの左手を突っ込んでいる。 そういえば冬になると、彼女も同じことをしてきたっけ……。 下唇を噛み、足早にそのカップルを追い抜こうとした時、こんな会話が聞こえてきた。 「ねぇ、もし明日私が死んじゃったらどうする?」 「なに言ってんだよ」
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