また会う日まで

男の子は呆れたように笑い、女の子の頭を撫でた。
それに甘えるように「だからもしもだよー、もしも！」と女の子が男の子に縋っている。

歩みを止め、その場にボーっと突っ立ったままの俺は昔、彼女と全く同じような会話をしたことをこの時思い出した。
そういえば、あの時彼女はこんなことを言っていた…。

　「ねぇねぇもし明日私が死んだらどうする？」

「なにを不謹慎なことを…」

「不謹慎なんかじゃないよ！命あるものはね、いつか必ず終わりがくるの。だからこういうことはちゃんと考えておかなきゃいけないんだよ。それなのに日本人はこういう話を避けたがるよねぇ」

口を尖らせる彼女を前に、ぼんやりと考える。
まぁ誰だって自分や、自分の大切な人が死ぬことなんて考えたくはないだろう。

「それにさぁ、世の中いろんなことがあるけど、明日死んじゃったらもう何も知ることができなくなっちゃうよね。それなのに生きている人達はこの先起こること全てを知っていけるって、なんだかズルいなぁ」