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「なにそれ」
思わず飲んでいたコーヒーを吹き出しそうになった俺は、慌てて袖で口元を拭った。
彼女の負けず嫌いな精神力がこんなところで謎に発揮されている。
「だってぇ、知らないことを知れるって楽しいじゃん!この先何が起こるんだろうって考えたらわくわくしない?…あ!じゃあさじゃあさ、もし私が先に死んじゃったら蒼太はこの先の人生を立派に生きて、いろんなものを見て聞いて感じて…、そういう"お土産”をたくさん持って私のところに来てよね!」
「お土産?土産話ってこと?」
「うん、そう!ほら、いつかこれをあいつにも聞かせてやろう、あいつにも見せてやろうと思いながら行動をすればさ、蒼太だって私がいなくても寂しくないでしょう?」
ふふふと可愛く笑う彼女を前に、俺はうーんと首を捻る。
そうだろうか…。なんだか少し切ないというか、逆に寂しさを感じてしまうのではないだろうか。
「普通さ、そういう時って"私の分まで生きてね”とか言うもんじゃないの?」
「そうなのかなぁ。でもさぁ、自分の人生って結局は自分しか生きれないよ。だから私、それは無理だと思うんだよね」
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