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腕を組み、真剣な表情でそう語る彼女に、俺はそれ以上何も言葉を返すことができなかった。
いつもはのほほんとしている彼女だが、意外と自分の信念は曲げない強い意志の持ち主なのだ。
「一人で二人分を背負って生きようとするよりさ、蒼太にはもっと身軽に生きて欲しいから。だから両手にいっぱいの花束を抱えるように、両手にいっぱいのお土産ができるまで、自分の人生をきちんと全うするんだよ!」
ポンポンと、俺の膝に手を添える彼女の頭を、俺はわしわしと撫でた。
えへへと嬉しそうに笑う彼女が本当にいなくなってしまうだなんて、この時は考えもせずにーーーー
「土産話か…」
確かに、"お土産”と言えるほどの話のネタを、俺はまだ全然抱えていない気がする。
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