キミのとなり、365日  

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「じゃあな、ちゃんと勉強しろよ」 「陽ちゃんもね」 校門の前で立っている生徒指導の先生の目に入らないように、いつもと同じように少し手前で下ろしてもらう。お決まりのセリフにおどけたように笑えば、「学校では先輩と呼べ」なんて聞き慣れた言葉が返ってきた。 「陽ちゃんは陽ちゃんだもん」 「可愛くねぇ後輩だな」 冗談めかしたような顔はすっかり学校で見る陽ちゃんになっていて、さっきまで不機嫌な顔をしていたとは思えないほど爽やかだ。人当たりのいい彼らしい振る舞いが、少しだけおかしかった。 陽ちゃんとの距離が離れていくことに寂しさを感じていると、「おはよ」という明るい声とともに肩をポンと叩かれた。声の主は同級生の親友で、笑顔で挨拶を返して自然と並んで歩き始める。 「今日もラブラブだったねぇ」 「そんなんじゃないってば」 「嬉しいくせに」 テンプレ化したやり取りにため息を零したけれど、嬉しいというのは当たっていて、言葉に詰まったことを誤魔化すために小さく唇を尖らせた。「素直じゃないなぁ、菜々は」という呆れた声は聞こえない振りをして、校門を潜った。
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