10人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
こうして話すのも、ほとんど日課みたいなもの。
お風呂上がりにベランダでジュースを飲む陽ちゃんに合わせて、私も顔を出す。今日は私のほうが早かったけれど、こんな風に他愛のない話ができる時間はとても楽しくて、さっきまでの寂しかった気持ちも和らいだ。
「お前さー」
「なに?」
「俺とばっかいたら、彼氏できねぇぞ」
「いいもん、別に」
私が好きなのは陽ちゃんなんだから、なんて言う勇気はまだないけど、幼なじみというポジションは私だけのもの。それさえあれば、誰よりも彼の近くにいられるんだから。
「そろそろ兄離れしろよ」
「お兄ちゃんじゃないじゃん」
「似たようなもんだろ」
「全然違う!それに、私達キスした仲じゃん!」
ムキになった私の言葉に、陽ちゃんは飲んでいたサイダー噴き出しそうになった。
「......お前、それ誰にも言うなよ」
「私達のファーストキスのこと?」
「誤解を生みそうな言い方はやめろ」
「本当のことでしょ?」
陽ちゃんは深い溜め息の後で、「幼稚園の話なんてノーカンだって言ってるだろ」と聞き飽きた言葉を口にした。
最初のコメントを投稿しよう!