だって、わかってたんだもん

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だって、わかってたんだもん

今日はヤバいくらいボッバトやってる。 昼飯食うから、一旦ログアウトしてからサリーと合流、晩飯食うから、一旦ログアウトしてサリーと合流。 で、まだサリーと2on2をプレイ中だ。 何時間やってんだろう?オジサン、干からびそうです。 明日も休みで、本当に良かった。 「サリーちゃん、これラストにしますわ。流石に疲れました」 「情けないなぁ~まぁ、社会人の本分は仕事だろうから、ちゃんと休んで仕事頑張らないとねー!」 明日も休みなのは、内緒にしておこう。 頭の中で新しいゲイボルグのイメージが出来上がりそうだったが、サリーと色々話をしたこともあり今はゲームを楽しむことにした。 なので、装備はいつも通りだ。 こうしてバトル多めの立ち回りをしていると、やはり火力とエイム力のバランスが悪いように感じる。 安定感はあるが、倒しきれない中口径アサルトライフルと微妙なエイムで倒しきれないマークスマンライフルの組み合わせ。 マークスマンライフルはサリーのバーストライフル同様、フルオートできないタップ撃ちの中~遠距離武器なのでタップ速度とエイム力を兼ね備えていないと使いこなせないと改めて感じている。 「すまん、倒しきれなかった敵機がNE方向に逃げた」 「OK、追撃するから、ハルオも詰めて!カウンターくるかもだから、※角待ち注意ね!」 ※遮蔽物の角で入ってきた敵を迎え撃つ戦法 「了解!」 ・・・なんか、あの建物の裏、イヤな感じがする。 ブーストで直進する、と見せかけてジャンプで建物の裏を空中から確認すると・・・さっき倒し損ねた敵機が潜んでいた! 「ビンゴ!」 すかさず空中からのアサルトライフルで銃撃!反撃を数発食らったが、先にダメージを与えていたので難なく撃ち勝てた。 ゲイボルグ→ストレイツォ 「さっきのやつ、マジで角待ちしてたわ!」 「ナイスゥー!やるじゃん、ハルオ!」 「いやぁ、サリーの声掛けなかったらヤバかったかも。サンキューな!」 それにしても、自分の撃破ログが頻繁に流れるのってなかなか快感だなぁ。 続け様に他のバトラーの撃破ログが流れ出す。 フンジャッター→テツコノヘアー え?フンジャッターだって!? 「ヤバい、俺のフレンドいるわ」 「へぇ~強いの?」 「俺のフレンドの中だと、別格だな。重量タイプのバトラーで猫ライダーさんって言うんだけど・・・上手い人だよ。一緒にプレイしてると、かなり心強いし」 猫ライダーさん(男)は、自称一流企業の役職者で実際に結構課金してるので金に余裕があるのは間違いないだろう。 俺と同世代だが爽やかな声と喋り方をするので、歳より若くみられがちだ。 既婚者で息子さんが1人と、猫を2匹飼っている。 典型的な※陽キャだ。 ※陽気なキャラクター 性格が明るく人付き合いも上手い。 軽量タイプと重量タイプの相性って微妙なんだよなぁ~軽量タイプから見たら倒しきれずに弾切れとか最悪のパターンも有り得る。 逆に重量タイプは軽量タイプに逃げ切られるとやりづらいとは思うが、長期戦に持ち込まれたら最終的に軽量タイプ側が追い詰められてやられてしまう。 マップは無限の広さじゃないので、後半のアンチ収縮時に重量タイプと接敵したらかなり辛い。 できれば、さっさとどこかの誰かにやられて消えて頂きたい。 「重量タイプかぁ~首見えないタイプ?」 「だな。首が露出していない、ズングリムックリしたTHE・重量タイプデザインだ。全体のカラーは茶トラ猫みたいな色合いで、頭部左右に猫耳みたいな三角※センサーがついてるから、見ればすぐにわかると思う」 ※センサー ボットの動く音(駆動音)等が聞き取りやすくなり、音での判断力向上が期待できる。 「武器構成は?」 「それが・・・なかなかの課金勢で組む度、違う武器を使ってるから特定不可能だ」 「僚機次第だけど、私たちとの相性は最悪って訳ね。クリティカルは狙いづらいし、刀が通ったとしても武装容量に余裕があればサブカメラを仕込んでる可能性もあるわね」 少し離れたエリアから、爆発音が聞こえてきた。 フンジャッター→アメとオク それとほぼ同時に流れる撃破ログ・・・猫さん、近いな。 「さぁ、どうする?ハルオ」 今までの俺なら、この場合は退くんだが・・・ 「多分、俺は猫さんに甘く見られてると思う。だから、その油断を突く!こっちから攻めるぞ!」 「すっかり、撃破厨になっちゃったんじゃない?」 「誰かさんのせいでな。俺が先行するから、隙ができたら頼んだぞ!」 爆発音が聞こえたのは、森林エリア・・・派手な爆発音が鳴る武器ならバズーカか? 木に隠れながら、フンジャッターを捜す。 サリーは俺から少し離れて、後ろからついてきてくれている。 そして・・・見つけた、フンジャッターだ! 5cfea3eb-b854-492e-9fa2-bdd246556b6a まだ、こちらには気付いていないな。僚機らしき敵機の姿も見えない。先に撃破されたのか? 何にせよ、この距離ならマークスマンライフルで先手を打てる! ガン!ガガン!ガンガン! 5発中3発がヒットしたが、フンジャッターは後方にブーストしながらバズーカで反撃してきた! 右腕武器はバズーカ・・・こちらは横にブーストして直撃を避けるが、爆風で木片が飛び散り視界が遮られる。 どこだ? 重量タイプは追い足が無いので、まだ距離は離れている・・・ハズ。 「サリー、そっちから捕捉できないか?」 返事が無い・・・ 「サリー?」 「・・・ゴメン、ハルオ。別パと接敵したわ。早めに片付ける!」 サリーが待機していた方角から、銃撃音が鳴り出した! 援護は望めないか、サリーの加勢に戻るべきか? パラパラパラパラ・・・ 「余所見とは、余裕ですねー!ハルオさん」 !? オープンチャットで猫さんの爽やかボイスが響く! 一瞬、視界が暗くなった。まさか、上か!? ブーストでその場から離れた瞬間、今いた場所にフンジャッターが降下してきた! 巻き上げられた土、へこむ地面・・・猫をモチーフにした可愛いデザインとは裏腹に戦慄を走らせる。 1眼アイカメラがギョロりと動き、ゲイボルグを捕捉した事を告げるように緑色に光った。 フンジャッターに踏まれてやられるなんて、危なく笑い者になるところだったぜ! 「まさか、空から降ってくるなんて思いませんでしたよ・・・どうやったんです猫さん?」 オープンチャットに切り替え、探りをいれる。 「チームを組んでる時ならまだしも、敵に教える訳が無いじゃないですかー!」 バズーカを撃つフンジャッター、飛び退くゲイボルグ! 直撃は避けたが、またもや木片や土煙が視界を遮る。 「でも、意外でしたよー!ハルオさんの方から攻めてくるなんて!」 「猫さんの俺に対する評価、低そうだったんで油断してるとこを狙ってみたんですけど、ね!」 アサルトライフルに持ち替え、弾をばらまき威嚇するがフンジャッターは意にも介さず再びバズーカを撃ち放つ! 「最近、2on2でプレイしてるじゃないですかー?観戦したら、結構積極的な動きしてたので本当は攻めてくるかもって期待もあったんですよねー!」 「さっきは、意外って言ってたじゃないですか!」 この距離は不利だ・・・スモーク弾を撃って身を隠し、体勢を立て直そう。 煙幕で見えないが、オープンチャットで猫さんの声が響く。 「意外でしたよー!ハルオさん、消極的を絵に描いたようなプレイスタイルだったのに、だから確かめたくなったんですよー!」 「もしかして、マッチ被せました?」 「被せましたー!」 好かれてるのか、嫌われてるのか・・・いまいち良くわからないが、このままなす術無くやられる訳にはいかない。 パラパラパラパラ・・・ この音、さっきも聞こえたぞ? プロペラ機が飛んでいるような音・・・空に何かいるな!? 森林エリアから飛び出し、上空にでると・・・※オスプレイのような航空機から伸びたクレーン車のワイヤーロープのようなモノを掴んだフンジャッターが姿を現した。 ※垂直離着陸機 ヘリコプターを上回る航続性と速度能力を有する。 「バレちゃいましたかー!僚機の代わりに使用できる※サポート機ですよー!」 ※サポート機 僚機の代わりに運用することができる自立支援機体。ただし、武装容量に反映される。 そういえば、そんなのもあったな。これが、突如空中から降下してきたカラクリか! だから、普段より軽装だったのか・・・だが、今の状況なら物量でゴリ押しされるよりはマシかも知れない。 お互いが正面を向き合い、メインウエポンを構える。 バズーカの轟音が鳴り響く! 「この距離、そして、この高さはブースターゲージを使いきって届く距離ですよー!!もう、かわせませんよー!」 計算された策略ってやつか、流石だな猫さん。 しかも重量タイプは相討ちでも耐久値で生き残れるって算段だろうが、こっちにも奥の手が残ってる! 「ゲイボルグ、フルブースト!」 一定時間ブースト状態を維持し、速度をアップさせるスキル! 更に上昇して、バズーカの砲撃をかわす! サポート機とフンジャッターを上空から見下ろし、標準を合わせる。 狙うは、フンジャッター・・・では、無くサポート機だ! サポート機の耐久値はわからないが、フンジャッターよりは高くないだろ! ありったけの銃弾を容赦無くサポート機めがけて撃ち放つ! 「げぇ!?」 爽やかボイスが濁ったドブボイスに変わり果てた瞬間だった。 サポート機を上空で爆破し、爆発に巻き込まれたフンジャッター・・・普通の機体なら、これで終わりだろう。 爆炎の中から黒煙をあげたフンジャッターが姿を現し、構えたバズーカから砲撃を放つ! 流石は最大耐久値を誇る重量タイプと言ったところだが、それくらいお見通しだ! 砲撃を回避し、弾切れのアサルトライフルからマークスマンライフルに持ち替えて落下するフンジャッターを追撃! 的がデカイので、俺の微妙なエイム力でも連続で命中させることに成功し・・・とうとうフンジャッターは空中で爆発した。 ゲイボルグ→フンジャッター 勝った・・・けど、スキルが切れて落下する。 着地時にブーストして落下速度を調整しないと、 落下の衝撃でダメージを受けてthe endだ。 ゲームでも、高所から落ちるのは怖い!俺は思わず、目を瞑った。 ガシン! 地面に衝突した時の音じゃない・・・あれ、まだ生きてる? 目を開けると、ゲイボルグをお姫様抱っこした抹茶丸が映った。 「やるじゃん、ハルオ!」 「サリー・・・てか、そっち片付いてただろ?」 「一騎討ちに水を差すのも、どうかなってね?」 「次回はガンガン水差して良いぞ。普通に助けにきてくれ」 「でも、助けいらなかったじゃん」 「それで負けてたら、どうしてくれるんだよ!」 「だって、わかってたんだもん・・・ハルオが勝つって」 「そ、そうか・・・」 そんな事を言われたら、もう怒る気にはなれないじゃないか。 「それにしても、お姫様抱っこされたのは初めてだわ。これ、どうやってやんの?」 「防御と取得の同時押しでタイミング合えば僚機を掴んだりできるよ?ハルオ、勉強不足だなー!」 「なるほど、とりあえず・・・なんか恥ずかしいから、そろそろ降ろしてくれないか?」 マッチ終了後、猫さんからメールが来た。 「やられましたよ、まさかサポート機を爆発させるとは・・・僕が知ってるハルオさんとは別人みたいですねー!」 「まともにやったら、負けてましたよ。それにしても、また何でマッチまで被せて絡んで来たんですか?」 「だって、最近遊んでくれないんで寂しかったんですものー!」 次回は3on3で遊ぶ約束をした。
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