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メンバー集め編 美女と野獣!
ここ数日、メンバー探しに精を出しているが一向に集まらずクランは3人のままだ。
サリーと待機していると、猫さんからメールが届いた。
「今日はインできません!」
今日は2人でメンバー探しになりそうだ。
とりあえずfullteamで野良さん2人を入れる形で回して行こう。
「宜しくお願いします」
野良さん2人に挨拶するが、何やら様子がおかしい。
「ちょっと、モード間違ってるじゃない!」
「ウウウ・・・」
あ、これ2on2やるつもりが間違ってfullteamに入っちゃったやつかな?
「え~と、抜けます?」
「まぁ、もう2人でやることも無いし・・・やっていきますわ」
高貴系口調の色っぽい声をした女性バトラーと、唸り声?みたいのを出していた男性バトラーの2人組・・・普段から一緒にやってそうな雰囲気だ。
2人でやることが無いってことは、今シーズンの目標は達成したってことかな?
「俺たちもフレンドです。そちらもフレンド同士ですよね?」
「ハルオのパートナーのサリーです!よろしく!」
ダイの一件以来、サリーがやたらパートナーを強調するになった。
「まぁ、私たちもパートナー同士ですわ!私は杏、この子はケモリンと言いますの。宜しくお願い致しますわ」
「ウゥ!」
何となく、女王様とペット的な雰囲気が漂っているが・・・ケモリンさんは「ウウ」しか言わないキャラ?
なかなかに、濃いな。
流石のサリーも異質な雰囲気に飲まれてるようで、口数少なめだ。
とりあえず、待機中に2人の機体データを見させて貰おう。
「プロフで機体データ確認させて貰いますね」
どれどれ、まずは杏さんから・・・バトラーランクは・・・ゲッ!?
今シーズンの2on2レッドバトラー!?なるほど、やることが無いってのはそういう意味か。
機体名は『ボブヘア』軽量タイプで頭部の形がオカッパ髪みたいな形状をしている。なるほど、ボブヘアーが機体名の由来か。カメラはゴーグルタイプで色は紫。
フェイスはマスクタイプで肩パッドは丸型、腰回りはスカートのようなデザインで踵が高い。
メインカラーは薄いピンク、差し色は黄色、腕と脚は白、杏の花をイメージしているのだろう。
武器は・・・ガリアンソード!?また、珍しいのを使ってるな。
ガリアンソードとは、刃部分を数珠状に分割して鞭形体にする事ができる近~中距離武器だ。
蛇腹剣などとも言われるが、知る人ぞ知る歴としたロボットアニメの武器なのだ。
接近戦では普通の剣としても使えるが、扱いが難しく敬遠されがちである。
自分で使った事は無いが、動画で見た内容だと固有アクションで数珠状に変化させ機体の動きと連動して剣も動く仕組みらしい。
使いこなすには、かなりの熟練度が必要・・・って感じだった。
もう1つは中口径のアサルトライフルでゲイボルグと同じタイプだ。
サポート武器はグレネードとスモーク弾、ガリアンソードはさほど重くないので武装容量に余裕があるからか※広範囲レーダーをバックパック左側に装着している。
※広範囲レーダー 通常よりも遠くの銃撃マークや爆発マークなどがレーダーに反映される。
レーダーの形も拘っているようで、花の形にカスタマイズされており全体的に女性らしい仕上がりだ。
一方、ケモリンの機体は・・・『ウウウルフ』まんま、狼みたいなデザインで全体がグレー1色、アイカメラは黄色のゴーグル、汎用タイプ、腕の基本装甲が外されており黒鉄色のフレームが剥き出しになっている。
この調整は、耐久値を犠牲にして軽量化し武器を多めに乗せたり移動速度を上げたりできる。
脚が汎用タイプ用の逆間接になっており、機動力は高そうだ。
武器は全て※ミサイルポッド!?これまた、偏った武器構成だ。
※ミサイルポッド 構える→ロックオン→発射の手順で行われる中~遠距離兵器。
小型であるほど弾速は速いが、誘導性能が低く、威力が落ちるという特性がある。
発射角度によって、弾道を変化させる事が可能。
左右の腕に中型ミサイルポッド、バックパック左右に大型ミサイルポッド・・・接近戦はボブヘアに任せる感じかな?
そうなると、ボブヘアは軽量タイプより格闘タイプにした方が良い気がするが・・・実際、レッドバトラーまで上り詰めた構成なのだから俺の想像を覆す何かがあるのかも知れない。
2人がどんな立ち回りをするのか、俄然興味が湧いてきた!
今回のマップは雪原地帯、雪に覆われた大地に高い山、建物が建ち並ぶ中都市エリアは少なく、高低差がある地形が多い。
中都市エリアに降下したが、敵機はおらず穏やかな立ち上がりとなった。
「索敵範囲を広げたいので、2手に別れて行動しませんか?」
「私たちは構わないですわよ」
サリーに個別チャットを送る。
「2人の戦闘スタイルに興味がある。ちょっと離れて見てみたい」
「分断索敵はリスク高いから、ハルオが提案するのは珍しいと思ったけど・・・そういう意図ね。わかったわ」
暫くすると、2人から接敵の報告が入った。
「接敵いたしましたわ。4機固まっているので、カバーに来てくれると助かりますわ」
「了解、すぐそちらに向かいます」
いざとなったら、射撃でカバーできるよう接敵報告があったポイントを上から見下ろせる高所へ移動する。
「いつでも攻撃開始できますが、どうします?」
「でしたら、私達が先陣切りますわ!」
「了解、ではお願いします!」
願ったり叶ったりの展開だ・・・では、お手並み拝見!
そこで、俺たちが目撃したのは未だにかつて見たことの無い連携だった。
「さぁ~て、いきますわよ!」
「ウゥ!」
ガリアンソードを数珠状にし、馬に鞭打つように地面を叩く様は戦いの合図のように見えた。
そして、ウウウルフの体が可変し獣のような四つ足の姿勢になった!
そういえば、汎用逆間接には軽量逆間接と異なる点があったな。
四つん這いの姿勢が可能となり、しゃがみ状態を維持しているような状態で移動ができる。
若干当たり判定が小さくなるメリットがあるが、左右の銃器は使用不可能になるので工夫が必要だ。
なるほど、だからトリガーの無い腕につけるミサイルがメインだったのか!
さらに驚くことに、ウウウルフの上にボフヘアが飛び乗った!
ボブヘアを乗せ、ウウウルフが雪煙を巻き上げ走り出す!
なるほど!ボブヘアが軽量タイプなのは、上に乗った際にウウウルフの移動速度を考慮しているのか!
障害物の少ない、雪原でのバトルが始まった!
敵機は汎用タイプ2機、重量タイプ1機、軽量タイプ1機・・・派手な雪煙に気づいた前衛の重量タイプと汎用タイプがアサルトライフルで迎撃を試みるが、既にロックオンしていたウウウルフのミサイル一斉発射が先制攻撃となる。
凄まじい弾幕が前衛2機を襲う!
ウウウルフ→ファンタグレイプ
汎用タイプは撃破され、残った重量タイプも一気に間合いを詰めたボブヘア&ウウウルフがすれ違い様に繰り出したガリアンソードを頭部にくらい崩れ落ちる。
後衛の2機はミサイルから逃れる為、低い地形のところまで後退し射線を切っていたが、ボブヘア&ウウウルフはそれを嘲笑うかのように近くにあった岩をジャンプ台代わりにし、2機の真上を飛び越し背後をとる。
「さぁ、嬲ってさしあげますわよ」
うわっ・・・ドSだ、絶対にドSだ!
ボブヘア→ファンタオレンジ
ボブヘア→ファンタピーチ
汎用タイプをボブヘアがガリアンソードとアサルトライフルの連続技で華麗に倒し、逃げようとする軽量タイプはウウウルフのミサイル攻撃の餌食となり、全機撃破!
と、思いきやサリーの狙撃が2人を強襲しようと銃を構えていた重量タイプを撃ち抜いた。
真抹茶丸→ファンタメロン
そういえば、重量タイプの撃破ログ流れてなかったな。サブカメラを搭載していて、頭部破壊による撃破から免れていたのか。
「あら、詰めが甘かったわね。助かりましたわ」
「結構なお手前で!御二人共、やりますねぇ~」
猛者の戦いぶりを見て、疼いたのかサリーが2人に向かって大声を出す。
「今度は、私たちが魅せる番だねー!いくよ、ハルオ!」
サリー・・・これはゲームだから、本当の雪山みたいに大声出さなくても聞こえるぞ?
結局、サリーがヤル気満々すぎて俺には大した出番は回ってこず。
このマッチは全員生存の大量撃破でWINNERとなった。
マッチ終了後、早速サリーがチーム履歴から2人にフレンド申請し了承を得た。
ロビーに現れた2人のアバターは黒レザーのレオタードを着た、いかにもな女王様と首輪をつけた狼の着ぐるみ男子。
ケモリンの徹底ぶりが凄いな。
「いやー!あんな風に合体して戦うの初めて見たお!ハルオ、私たちも合体すれば強くなるんじゃ?」
「やめろ、潰れる」
「私はそんなに重くないわよ!」
そんなやり取りをしていると、杏が笑い出した。
「フフフ、仲が良いですこと。ところで、何か目的があるのでしょう?試す用な真似までされて・・・そろそろ本題に入りません?」
見透かされてるなぁ・・・ここはストレートに勧誘してみよう。
「実は、クランバトルに出るメンバーを探してるんです。もし良ければ、入ってくれませんか?」
「私達は、二身一体のプレイスタイルですので、fullteam戦でお役に立てるかわかりませんわよ?先程のマッチは、私たちのfullteamランクが低かったので敵のレベルも低かったように思いますし・・・」
「全然OKよ!もう、2on2も飽きちゃったんでしょ?一緒に遊びましょう!」
「遊ぶ、と?上位を目指すのではなくて?」
「上位は勿論、まずはサーバー1位を目指すわよ!とは言ってもゲームは楽しんでなんぼだから、やっぱり遊ぶって言う方がしっくりくるでしょ?ウチのクランのモットーはゲームを楽しむことなんだお!」
おぉ?大きくでたなぁ~まぁ、やるからには目標はデカイ方が良いよな。
「ねぇ、ケモリンさんもそう思うでしょ?一緒に遊ぼうよ~」
「ゥウ・・・」
「・・・今までもクランには何度か誘われましたが、ケモリンに同意を求めたのはあなたが初めて、ですわね」
さっきより、口調が柔らかいな・・・手応え有りか!?
「まぁ、フレンドにもなりましたし、とりあえず考えてさせていただきますわ。では、楽しい時間をありがとうございます。お先に失礼致しますわ、ごきげんよう」
「ウゥ!」
そう言い残し、二人はログアウトしてしまった。
良い返事がくれば良いのだが・・・
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