殲滅共同戦線編 ディストピア

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殲滅共同戦線編 ディストピア

杏の新機『ダンシングレディ』はボブヘア同様、軽量タイプである。 ダンシングレディはオランダ生まれの大輪の鉄砲百合で、ダイナミックなピンクの花だ。 機体の色は鮮やかなピンクで、頭部のデザインがリボン型に変更されている。 メインウエポンはガリアンソード、中口径アサルトライフルはボブヘアと同じで、その他、ボディ、腕、脚の形状は変わっていない。 肩とスカートのデザインが異なり、サイドスカートに追加ブースターを搭載、バックパックの広範囲レーダーは撤去され、バックパック左右に※2種類のデコイ発射装置を搭載した。 ※囮という意味を持つ、敵の目標を誤認させる兵器。 b95b814c-9ce7-4313-a5dd-2d53b4a4d649 ケモリンの新機『ウプウアウト』は新フレーム獣型タイプとなった。 ウプウアウトとは、エジプト神話に登場するファラオの狩猟に付き従ったとされる狼の軍神である。 その能力の高さから、神よりも強力な鋭い矢と称された。 汎用タイプに逆間接をつけた今までのスタイルでの改修に行き詰まっていたケモリンにとっては、吉報に他ならないアップデートとなった。 四つん這いで僚機を乗せるプレイスタイルは乗り手と乗せ手の息を高水準で合わせる必要があり、中央から少しズレると落下する等、失敗した際のデメリットが大きかったが、獣型タイプの場合、しゃがむ機能が無い代わりに乗せるという機能が備わり、例をあげると一般的なFPSゲームでいう乗り物に乗るような仕様となり、乗り手側の判断で乗り降りする事も可能である。 ただし、自機より重い機体は乗せることができない。 基本スペックは移動速度が軽量タイプ以上で、ジャンプ力は低いがジャンプでの移動も素早い。 耐久値・武装容量は汎用タイプよりやや低い。 フルオート武器の反動が少なく、アサルトライフルと相性が良い。 欠点として、エネルギー出力が全機体最低かつ、持続時間も短い他、装備可能武器に制限がある。(両手で使う武器は使用不可)人型への可変はできないので高低差が激しい場所での戦闘には不向きである。 また、リペアキットを2つまでしか持つことができないので立ち回りの難易度が高い。 武装箇所は左右肩、背中、尻尾とバックパックは無くブースターは後ろ脚の太股に設置され、スキルを使用すると高速で縦or横に回転しながら攻撃ができる。 スキル発動後は一定時間、移動速度が低下しブースター使用不可、勿論スキルも連続使用はできない。 デザインは数パターンあるが、ウプウアウトは言うまでも無く狼型となった。 メインウエポンは背中に大口径アサルトライフル、肩左右に中型ミサイルポッド、そして尻尾はガリアンソードになっている。 ダークサンダーを迎え撃つべく、2機は勇んで前に出ようとするがダイがそれを遮った。 「杏さん、ケモリンさん!僕に・・・」 時間を下さい。そう言おうとした矢先、ダイの機体を銃撃する敵機が現れた。 それは以前、ダイとハルオに撃破されたブラックウィンドの汎用タイプバージョンだった。 「クッ・・・邪魔するなぁ!」 「ダイちゃん!何か事情があるみたいですが、こればっかりは譲れませんわ!」 ダンシングレディはウプウアウトに乗り、ダークサンダーへと向かって行く。 「ダイきゅん!」 松風は淡雪でダイと敵機の間に入り、トンファーを回転させて敵の銃撃を弾き飛ばした。 ダイを攻撃した敵機・・・ブラックウィンドのチーターがオープンチャットで叫ぶ。 「機体が変わっているが、ダイだろ!俺がわかるか?」 ダイもオープンチャットに切り替え、返答した。 「聞き覚えがある声だな・・・Mkgのメンバーか?」 淡雪に庇ってもらい、ダイは一旦遮蔽物で射線を切る。 流石に全弾弾き飛ばす事はできず、被弾した淡雪も同じく遮蔽物の陰に逃げ込む。 「わからねぇか・・・そうだよな。お前はいつだって、特別扱いだった!クランから追い出しても、すぐに新たなクランで活躍して当然のようにチヤホヤされてやがる!我慢ならねぇんだよ、お前の存在がぁ!」 ダイが応答する前に松風がブチ切れ、オープンチャットで怒鳴る。 「言わせておけば、テメェ何様だ!?みっともねぇ嫉妬を垂れ流して、私のダイきゅんを(けな)すんじゃねぇ!」 突然、豹変した松風と「私のダイきゅん」と言う言葉に少し戸惑ったダイだったが、すぐに立て直す。 「あ、ありがとう松風さん。僕は僕に出来る事をやってきただけだ。どこの誰かは知らないが、否定される謂れは無い。邪魔をするなら、送ってやる・・・※ディストピアに!」 ※暗黒世界、地獄のような世界等を指すユートピア(理想郷)の対となる意味合いを持つ。 チーターたちを暗黒に落とす・・・そんな意味を込められて名付けられたダイの新機名は『ディストピア』である。 白銀色はそのままだが、頭部のデザインが変更されておりL字型の一角が頭部中央に装飾されている。 9b4e5c76-6834-4c93-95fe-50d4f9207f2a 騎士風の装いは一部デザインが変更され、以前より重厚感が増している。飾りのマントは取り外され、左右バックパックにカイトシールドのような形をしたが取り付けられた。 a655049b-1562-4f12-a447-3404c702cc7f 「ディストピアぁ?キザな言い回ししやがって・・・俺がわからねぇだと?俺の名を言ってみろぉー!」 怒り狂うブラックウィンドが空中から右肩のチェーンガンを乱射する。 しかし、遮蔽物に隠れているディストピアには当然当たらない。 (妙だな・・・激昂している様子だが、何故こんな無意味な攻撃を?単に冷静を欠いている?いや、良く監察するんだ・・・少しずつだが、距離を詰めながら撃ってきているな) 隙を突こうとトンファーをガトリングガンモードに切り替え、遮蔽物から身を乗りだし銃撃する淡雪だったが、被弾しながらブラックウィンドは大口径アサルトライフルで反撃する。 「クソ、距離が遠いからガトリングガンの集弾率が落ちる!でも、弾幕が激しくて近づきたくても動けない!」 (ダメージを食らってでも、僕らをはりつけにする必要があるのか?) ダイはオープンチャットをチーム内のみのチャットに切り替え、松風に問う。 「松風さん、ここからでは見えないのですが敵機の左バックパック武装は大型ミサイルポッドですか?」 松風はチャットを切り替えるのを忘れ、オープンチャットでダイに答えてしまった。 「大型ミサイルポッドでは無く、大筒みたいな武装です!」 それを聞いたブラックウィンドは直ぐ様、松風の言う大筒型の武器・・・アトミックミサイルをディストピアに向けて発射した! 「遮蔽物無視のアトミックミサイルか!」 ブラックウィンドの放ったアトミックミサイルがダイの隠れている遮蔽物に命中し、大爆発を引き起こす! 「チッ・・・もう少し距離を詰めて確実に仕留めたかったが、バレちゃあ仕方ねぇな!」 「あぁ!?そんな・・・私のミスで・・・ダイきゅん!」 爆発後の砂煙で、ディストピアがどうなったか目視できないが・・・ブラックウィンドのチーターは、してやったりと言わんばかりに笑い出す。 「ギャーハハハハハッ!流石に撃破まではいかなかったが、腕一本くらいは吹っ飛んだか?」 砂煙の中がうっすら見え出す・・・そこには、宙に浮いた2枚の盾に守られたディストピアの姿があった。 ディストピアの無事を確認し、松風は歓喜の声をあげる。 「ダイきゅーん!」 対照的にブラックウィンドのチーターは狼狽していた。 「はぁ!?宙に浮く盾だと?そんなモノがあるのか!?」 これは、カイトシールドとボルドロを複合させ盾の裏側に小型の追加ブースターを取り付ける事で生まれた機動力を持った防御武装『フライングシールド』である。 カスタードと松風の協力で見いだした答えは『突破力不足』であった。 対魔王戦では有利な場所まで退き、ブラックウィンドを撃破した際も有利な場所まで退いて勝った。 では、退くことで有利な状況を作れないなら?鬼灯戦のように敗北する可能性が高い。 ならば、有利=ダメージを受けないポジションを自ら作れば良いと考えたのである。 遮蔽物越しのアトミックミサイルによる爆風ダメージを更にフライングシールドで軽減した。 勿論、完全に無傷とまではいかなかったがダメージは最小限に抑える事に成功したのである。 「シールドよ、僕を護れ!」 音声入力されたシールドは前進するディストピアに合わせて動き出す。 ディストピア本体のブースターとフライングシールドのブースターでは出力に違いがある為、ディストピアは通常移動しなければならない。 それでも前方からの攻撃に関しては、ほぼ完封可能である。 「やるじゃねぇか・・・だが、しかし!お前は運が悪かった!がいるからな!」 上空から、いつの間にかブラックウィンドがスキルで呼び寄せた輸送機が物資を投下した。 ブラックウィンドはアトミックミサイルを撃つと同時にスキルを発動させていた! 物資を見て、ダイは青ざめる。 「わざわざ汎用タイプにしたのは、そういう事か!」 その補給武装は・・・2発目のアトミックミサイル! をブラックウィンドはディストピアでは無く、淡雪に向けて撃ち放つ! 「クッ・・・シールドよ、僚機を護れ!」 フライングシールドは淡雪を護る為にディストピアから離れ、追加ブースター全開で淡雪に向かって飛んで行く。 「これでお前を護るモノは無いって訳だ。俺ってラッキィー!蜂の巣にしてやるぜ!」 アトミックミサイルの爆撃が爆風が引き起こす・・・ブラックウィンドがチェーンガンをディストピアに向けた、その瞬間! 上空から降下してきた物体が両者の間に落下し、月面の大地に突き刺さった。 それは機体1機分ほどもある巨大なランスで、ヴァンプレイトと呼ばれる大きな笠状の(つば)部分の1部が透明で、より大きく広がっている。 ダイも既にフライングシールドを展開させた時にスキルを発動させていたのである。 ガンランスを投げ捨て、それを両手で掴みあげたディストピアは槍先をブラックウィンドへ向けた。 迫力に圧倒され、ブラックウィンドのプレイヤーは思わず声を洩らす。 「ちょ、待ってぇ!?」 ヴァンプレイトの透明な部分から、前方を見据えながらブーストするディストピア! 更に、巨大なランスの大きな笠状の鍔裏に仕込まれた追加ブースターが作動する。 本来、機体のブースターと追加ブースターは同時に発動できないが機体のブースターと武装の追加ブースターならば、ほぼ同時に発動させる事が可能。 こうして生まれた推進力はフルブーストに近いスピードを実現し、ダイはこれを強行突破戦術※ジョストと名付けた。 ※馬の走力を利用しすれ違い様に突く戦法。この場合、巨大なランスを馬に見立てている。 ダイがたどり着いた突破力向上の最終形、ジョストに対してチェーンガンによる反撃を試みるも、フライングシールドによって護られた淡雪の援護射撃がそれを阻止した。 「決めて、ダイきゅん!」 ジョストの一撃がブラックウィンドを突き破り、切り離れた胴体がきりもみ回転しながら吹っ飛んだ。 「誰かは知らんが、お前はやっぱり・・・運が悪かったようだな。僕には、最後まで幸運の女神が傍らにいてくれた」 ディストピア→ブラックウィンド
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