1人が本棚に入れています
本棚に追加
もう一度会おうと約束をした。それから何日も何週間も何ヵ月も何年も、別々の道を生きてきた。
一歩一歩、自分の選んだ道を自分の足で歩いてきた。
とっておきの話を用意しよう。
それは、自信を持ってとっておきだと言える話と出逢うということ。どんなに小さなことでもいい。自分がとっておきだと胸を張れる話と出逢うということ。
それに出逢えるまで、生きるということ。
一人一つ、とっておきの話を用意してください。
もう一度出逢う、再会する仲間たちにあなたの生きた証を見せてください。
それまで、どんなに孤独であっても生き続けてください。どんなに苦しくても、信じて生きてください。
此度、同窓会の招待状が届いた。
もうすぐ、あと少しで自分の番がやってくる。
でもごめんね。
まだ、とっておきの話が用意できていない。まだ、いくわけにはいかない。
お願い、みんな。あと少しだけでいいんだ。もう少しだけ自分に時間をください。
もう少しだけ、自分に生きる時間をください。
そう願って、招待状を机の引き出しに押し込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!