同窓会の招待状

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もう一度会おうと約束をした。それから何日も何週間も何ヵ月も何年も、別々の道を生きてきた。 一歩一歩、自分の選んだ道を自分の足で歩いてきた。 とっておきの話を用意しよう。 それは、自信を持ってとっておきだと言える話と出逢うということ。どんなに小さなことでもいい。自分がとっておきだと胸を張れる話と出逢うということ。 それに出逢えるまで、生きるということ。 一人一つ、とっておきの話を用意してください。 もう一度出逢う、再会する仲間たちにあなたの生きた証を見せてください。 それまで、どんなに孤独であっても生き続けてください。どんなに苦しくても、信じて生きてください。 此度、同窓会の招待状が届いた。 もうすぐ、あと少しで自分の番がやってくる。 でもごめんね。 まだ、とっておきの話が用意できていない。まだ、いくわけにはいかない。 お願い、みんな。あと少しだけでいいんだ。もう少しだけ自分に時間をください。 もう少しだけ、自分に生きる時間をください。 そう願って、招待状を机の引き出しに押し込んだ。
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