殿下の婚約者は、記憶喪失です。

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 ――もう婚約解消は決まっている。残念だったな、王妃の座はお前のものにはならない。俺はこの女と婚約を結び直す。  だけど俺の元婚約者が変な相手と結婚するのを認めるわけにもいかないからな。  あれ、そういえばそこにちょうど良い相手がいるんじゃないか?  記憶が戻った以上逃げるわけにはと、茶会の席に戻って正直に事情を伝えたアメリアに対し。  リチャードは鷹揚ぶった口調でそう言って、側の女性を抱き寄せた。  ――そいつは女遊びもしない。公爵も気に入ってるようだ。  ――女遊びは殿下も今後は許しません。  女性がリチャードを叱り飛ばす。  呆気にとられて見つめてから、アメリアは淑女然として丁寧に謝意を示した。  ヒースもまた、今後ともこれまで以上にリチャードに誠心誠意仕えることを伝えて、その提案を感謝とともに謹んで受け入れた。
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