人喰い熊

5/8
前へ
/18ページ
次へ
熊達は顔を下げて、その熊に敬意を表した。 熊達の目は悲しみが含まれる。 「また人によって、仲間が死んでしまった」 熊の長が言う。 「しかし、もうこれで決着をつける」 ジュは固く拳を握り、主宰者を見上げた。 主宰者は慌てて使用人の首にナイフを突き付けて、奥の部屋に入り、立て篭もった。 「レア、ありがとう。ここまで回復できていれば動ける」 「うん…。でも熊さんが」 「レアは悪くないよ。他の熊達の治療をお願いできるかい?」 「うん…」 レアは目線を下げて、小さく頷く。 レアの涙袋におろろと涙を滲ませる。 「マルは大丈夫?」 マルはジュの首筋から、ぬめりとスライムの姿で現れた。 その姿は丸くて、粘り気と弾力がある。 「はい、あたしは大丈夫です!」 「良かった」 マルは、ぽにょんぽにょんと地面を跳ねている。 次の瞬間、マルは体を縦に伸ばして、人の姿に変化した。 マルは中学生位の女の子になった。 幼さがあるものの、たゆんたゆんな大きな胸、程よい腰回り、ぷりんとした小尻。 女性が憧れるような魅力的な体型だ。 鎧を身に付けている。 「今日は、さっきの兵の鎧を真似してみました! どう?」 マルは両腕を広げて、ジュに見せる。 「どうって言われてもなあ」 「こういう時は可愛いって言わないとレディに嫌われちゃいますよー」
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加