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"うちの子"
ごはんの時間はいつも難儀する。
つらつらと書かれた目安の一食も、"うちの子"は全然満足してくれない。
一瞬で平らげてしまったごはんは胃袋に落ち、私が急いで片づけようとしているごはんの袋に必死に頭を近づける。
「まだお腹すいてるの?」
初めの内はもう少しならと袋から一つだけ取り出しては、大好物のそれをちぎってあげていた。たまに食いつきがよすぎて戻してしまう程に、"うちの子"はごはんの時間が大好きだ。
そんな日々を続けては、いつの間にかぷっくりはみ出した皮膚を認めて、ようやく私は気がついた。
あげすぎてた
肥満は様々な恐ろしい病気に繋がると言うから、我に返った私は手を止める。
「もう終わり!」
今日はそう言って、強制的に袋の封を閉める。
すると今度は、つぶらな瞳が二つ、私を見上げるのだ。
体の柄とは似つかず、どうしてそんなに可愛い顔をしているんだと、文句を言いたくなるものの、心を鬼にして私は言う。
「終わりーー!!」
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