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二回目のアンコール曲は、新曲「頂上からは下るだけ」だった。今まさに頂上に向けて走り続けている彼女たちにぴったりの曲だ。
いつも通りに二回目のアンコール曲を一曲だけ唄い終わると、場内が一気に明るくなり、俺たちはいっせいに会場に背を向ける。
実はここからが俺達ウィケッターの真のお楽しみ、握手会なのだ。一応説明すると、ウィケッターというのは彼女たちのファンの事。改札をもじったのが起源とされていたりする。
握手会場は常にライブ会場の外のテントで、ライブが終わって出口が開くと、一斉にウィケッターたちが我先にと外へ走り出す。
いの一番に握手して、彼女たちにアピールしたいというファン心理のなせる業だろう。でも哀しい事に、いや本当は嬉しい事なのだが、今回俺はアリーナ席の最前列だった。つまり、出口からは一番遠いという事だ。
まあ、俺は最前列で由美ちゃんを堪能したから、君たちは頑張ってアピールしてきたまえ、などと余裕をかましつつ、焦らず歩いて握手会場へ向かった。
ベテランのふりをかましてはいるが、実は握手会もライブも初めてのご乗車だったりするのだけれど。あ、ご乗車というのは下り坂のライブ参戦の意だぞ、念のため。
初めてのご乗車なのに詳しいなと思った?自慢じゃないが、俺はCD特典のライブDVDと握手会を何度も見ているから詳しいのだ。
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