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小刻みに震える電柱の様にその場にただ茫然と立っていると、突然mayaが走り出した。俺の真横をmayaが駆け抜けると、柑橘系のとってもいい香りがした。これはなんていう香水だろう。
「マネージャー、見つかりましたか?」
mayaらしくない、と言ったらもう失礼かな、すでにmayaの本当を知ってしまったのだから、mayaらしいと言い直そう。
mayaの今のイメージそのままの大きなアニメ声で、彼女は叫びながらライブ会場へと走っていった。その声につられるように、俺はやっとその硬い体を後ろへと振り向かせた。
ライブ会場入り口から、マネージャーがゆっくりとこちらに歩み寄ってきている。こいつこそが、グループ名に「坂」を付けた張本人なのだから、古くからのファンの間でこいつを知らないやつはいない。
マネージャーは右手を挙げてその手を振っている。その手の先には何やら小さく輝くものが握られていた。
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