気分屋の君

1/4
前へ
/4ページ
次へ

気分屋の君

初めて会ったのはいつだったかな、歩いていく姿を見かけたときに綺麗な猫ちゃんだなあ…なんて思いながら目で追ったのは覚えている。 ある時は雀に飛びつこうと低姿勢になりながら、構えていたけど結局逃していたね。悔しそうでもなく、なかったことのように澄ました顔して歩き去っていく君。クスッと笑ってしまった。 「うわ、草だらけだ」 またある時は身体中に草や土なんかつけていて、綺麗な毛並みがあられもないことに…と思いながら手で落としてあげた。ついでに、撫でるのだけど抜け毛が宙を舞うし、手にたくさんの毛が付着した。 「にゃおん…」 「おー、よしよし…うわぁ服が毛だらけ」 野良猫のはずだけれど、この青い瞳の綺麗な毛並みな猫ちゃんは人懐っこい。基本、撫でを所望する。あと、めちゃくちゃ鳴く。可愛くてたまらないので、30分以上は撫でている。犠牲になるのは服ぐらいだ。毎度擦り寄ってくるので、家に帰るとコロコロ三昧。 猫好きとしてはご褒美なので、別に気にしない。 ちなみに男の子っぽい。多分ね。 お尻をこちらに向けて腰を上げてトントン要求される、非常にしつこく。びっくりするぐらい足にまとわりつく。 「積極的なんだよな…」 「にゃ…にゃおん…」 「トントントントントントン…」 頭とか顎下より腰を撫でろと言わんばかりに飽きもせず暫くはトントンしているのだけど、ずっとしゃがんでいるから足が痺れてくる。辛くなったら立って、また鳴かれてしゃがんで撫でたりしてを繰り返す。 なに、苦ではない。可愛いから。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加