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「海堂……翔一郎さん」
もしかして、その海堂家の関係者?
いや、名字を名乗っているのだから、この人はもしかしなくても……海堂家のお坊ちゃまなの!?
「よかった。海堂ホールディングスも少しは知られているんだな」
口をあんぐりと開けて驚くわたしに、海堂さんはにやりと笑って見せた。
「もちろんです! あ、海堂一族なんてぶしつけなことを言ってごめんなさい!」
「いや、そのとおり海堂一族だからな。私は海堂家の長男で、今は父のもとで副社長をしている」
この年で副社長。しかも長男ということは、世界に名だたる巨大ホールディングスの後継者ってことよね。
……なんだかますます逃げ出したくなってきた。
トラブルに次ぐトラブル。
こんなイケメン御曹司をトラブル扱いしたら失礼かもしれないけど、自分の手に負えないこの状況は、やはりトラブルと言っていいわよね?
「このセレブリティクイーンは、さすが伝統のある格式高い船だ。乗務員のレベルも高いし、食事もいい。何より船自体がいい」
「船自体?」
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