3.マイ・フェア・レディ?

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 海運王の後継者に生まれついたからというだけではなくて、本当に船に興味を持っているんだ。  強引で変わった人だけど、子供のように熱弁をふるう様子はちょっとかわいかった。  わたしがにこにこして聞いていると、海堂さんは少し気まずそうに口をつぐんだ。 「すまない。つい仕事モードになってしまったようだ」 「いいえ、とても興味深かったです。セレブリティクイーンのことを知れるのはうれしいし」 「そうか……?」  なんとなくうれしそう。  でも、わたしが笑顔を向けると、海堂さんは表情を引き締めた。あっという間に、余裕のある大人の顔に戻ってしまう。 「ところで、きみに提案がある」 「はい?」 「私は海運業に携わる者として、きみの夢を応援したいと思う。この船で過ごした日々が、きっといつかキャリアの役に立つ」 「そうなったらいいなと思いますけど……」  応援ってなんだろう?  わたしの夢。将来クルーズ旅行に携わりたいという希望と、海堂さんになんの関係が?  海堂さんは本心の見えない顔で薄く笑った。
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