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海運王の後継者に生まれついたからというだけではなくて、本当に船に興味を持っているんだ。
強引で変わった人だけど、子供のように熱弁をふるう様子はちょっとかわいかった。
わたしがにこにこして聞いていると、海堂さんは少し気まずそうに口をつぐんだ。
「すまない。つい仕事モードになってしまったようだ」
「いいえ、とても興味深かったです。セレブリティクイーンのことを知れるのはうれしいし」
「そうか……?」
なんとなくうれしそう。
でも、わたしが笑顔を向けると、海堂さんは表情を引き締めた。あっという間に、余裕のある大人の顔に戻ってしまう。
「ところで、きみに提案がある」
「はい?」
「私は海運業に携わる者として、きみの夢を応援したいと思う。この船で過ごした日々が、きっといつかキャリアの役に立つ」
「そうなったらいいなと思いますけど……」
応援ってなんだろう?
わたしの夢。将来クルーズ旅行に携わりたいという希望と、海堂さんになんの関係が?
海堂さんは本心の見えない顔で薄く笑った。
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