3.マイ・フェア・レディ?

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「きみのあのレモンイエローのドレスもかわいらしいが、あの服だけではクルーズライフを楽しめないだろう。特別な空間に一流のゲストが集う船だ。このセレブリティクイーンにふさわしいドレスを私がプレゼントしよう」 「は?」  今、ドレスをプレゼントって言った? 「…………は?」  縁もゆかりもない海堂さんが、なぜ? なんのために?  顔のいいベテラン結婚詐欺師みたいな言い草に、警戒心が湧きあがる。 「ドレスやアクセサリー、ヘアメイクなども含めて、きみがこのクルーズを心置きなく満喫できるよう全面的に手を貸す」 「…………」 「そのかわりに一つ、私の頼みを聞いてほしい」  ニヤリと人の悪そうな微笑みを浮かべる海堂さん。  どうやらプレゼントとやらには交換条件があるらしい。  そうよね、ただより高いものはないというもの。  胡散臭さが少し薄らいで、逆にほっとした。 「頼み、ですか……」  わたしの前準備が悪かったせいで、船内行事をいろいろあきらめなくてはいけないと覚悟したのに、参加できる可能性が出てきたのだ。  せっかくなら、この一流の船のすべてを見たい。  なんとなく嫌な予感はしたものの、わたしの気持ちは傾いていた。
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